研究課題/領域番号 |
20K09826
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩井 祥子 京都大学, 医学研究科, 特定研究員 (00768905)
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研究分担者 |
池田 華子 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20372162)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | クリスタリン網膜症 / 疾患特異的iPS細胞 / 遊離コレステロール |
研究実績の概要 |
本研究では、我々が明らかにしたクリスタリン網膜症の病態を踏まえ、患者由来iPS-RPEを用いて細胞機能障害の抑制および細胞内遊離コレステロール減少作用のある薬剤をスクリーニング、最適化を行い、クリスタリン網膜症に対する治療薬開発を進めることを目的としている。
本年度は、候補薬剤の最適化検討を行った。点眼にて網膜内に薬剤到達が確認できるシクロデキストリン誘導体Bを用いて、葉酸付加を行った。蛍光標識葉酸付加Bは、網膜色素上皮培養細胞であるARPE19細胞内に数倍程度多く取り込みされることが確認出来た。葉酸付加Bは、患者由来iPS細胞から分化させた網膜色素上皮細胞において、変性細胞数を減少させる作用を持つことを確認した。さらに、リソトラッカーを用いたFACS解析より、リソソーム機能障害を軽減させることを確認した。葉酸付加Bと付加なしBで、薬効が認められる濃度には大きな差はなかった。
さらに、葉酸付加Bと付加なしBをラットに点眼した。葉酸付加Bでは水への溶解度が低下したため、付加なしBでの実験時より1/4濃度での点眼実験となった。ラットに2日にわたり5回点眼を行い、30分後に眼球を摘出、網膜組織に含まれる葉酸付加Bまたは付加なしBの濃度測定LC/MSを用いて行った。付加なしBでは網膜から検出可能であったものの、葉酸付加Bでは、葉酸付加度合いなどの多様性が高く、検出感度が付加なしBと比べ1オーダ低いこともあり、検出が困難であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初、COVID-19の拡大により、新規研究実施の凍結、研究補佐員の在宅勤務が大学から指示されたため、研究開始が少し遅れた。その後は順調に推移し、予定していた研究内容はほぼ実施出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定通り、候補薬剤の最適化をさらに進めるため、複数の薬剤合成、検討へと進めていく予定である。
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