研究課題/領域番号 |
20K09827
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
廣岡 一行 広島大学, 病院(医), 准教授 (10325350)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アルドステロン / 網膜神経節細胞 / 緑内障 |
研究実績の概要 |
目的:アルドステロンは眼圧非依存性の網膜神経節細胞死を誘導することがわかっている。アルドステロンにより血圧が上昇するが、血圧上昇と網膜神経節細胞死の関係は明らかになっていない。今回の研究の目的は、網膜神経節細胞死と血圧の関係を明らかにすることである。 方法:アルドステロンの全身投与の有無と、飲水としての生理食塩水投与の有無で4群に分けた。80μg/kg/dayとなるようにアルドステロンと基材を浸透圧ポンプに注入し肩甲部の皮下に埋め込んだ。アルドステロンを投与しない群の浸透圧ポンプには基材のみを注入した。5週目にラットの両側上丘にフルオロゴールドを注入して網膜神経節細胞の逆行性染色を行った。6週目に網膜伸展標本を作製し網膜神経節細胞をカウントした。血圧と眼圧は毎週測定した。 結果:収縮期血圧は基材/蒸留水群では103.5±6.0mmHg、基材/生理食塩水群で129.8±4.8mmHg、アルドステロン/蒸留水群で104.5±4.3mmHg、アルドステロン/生理食塩水群で132.5±5.7mmHgであった。生理食塩水を飲ませることにより血圧は上昇した。眼圧はどの群でも10mmHg程度で経過し、アルドステロン、生理食塩水投与による上昇はなかった。網膜神経節細胞数は基材/蒸留水群で1815±194/mm2、基材/生理食塩水群1863±106/mm2、アルドステロン/蒸留水群で1464±30/mm2、アルドステロン/生理食塩水群で1400±30/mm2であった。網膜神経節細胞数は蒸留水の2群と生理食塩水の2群間では有意差があり、蒸留水の2群内、生理食塩水の2群内では有意差はなかった(Turkey検定)。 結論:アルドステロンには眼圧、血圧に依存しない網膜神経節細胞障害作用がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1年目はコロナ禍の影響で全く研究ができなかったが、2年目は順調に研究が進んだ。2年間のトータルで考えると、やや遅れているになると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
高血圧薬による血圧低下が網膜神経節細胞に及ぼす影響を検討する。 更にアルドステロンによる網膜神経節細胞死においてROCKの関与を調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で学会参加がほとんどできなかったために次年度使用額が生じた。移動制限も無くなると思われるので、国内・国外学会への旅費や、研究に必要な消耗品に使用する予定である。
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