研究課題/領域番号 |
20K09829
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター) |
研究代表者 |
中尾 新太郎 独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 客員研究員 (50583027)
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研究分担者 |
石川 桂二郎 九州大学, 医学研究院, 助教 (00795304)
山口 宗男 福岡大学, 医学部, 助教 (50848017)
有馬 充 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (60772845)
澤 新一郎 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80611756)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 眼内増殖性疾患 / 増殖糖尿病網膜症 / シングルセル解析 / 網膜前膜 / イメージング / OCT angiography |
研究実績の概要 |
シングルセルレベルでの眼内増殖組織の活動性バイオマーカー検索のため、3つのアプローチを行なった。①1つ目は比較的症例数が集めやすい疾患である網膜前膜にフォーカスし、47症例に同意を得て硝子体手術において眼内増殖組織を回収した。細胞の認めなかった2例と術後合併症を認めた1例を除いて44症例で解析が可能であった。FACSにて生存細胞が存在していることを確認、平均して1サンプルあたり920個の細胞数であったため、4群に分けてプールを行い逆転写をかけたが十分なcDNAが回収できなかった。今後、眼内増殖組織によるシングルセルレベルでの解析にはサンプリング条件の再設定とより多くの細胞数が必要であることが考えられた。②眼内増殖のマウスモデル(高酸素誘導網膜症モデル)において、網膜からCD11b分画を抽出しシングルセル解析を行なった。マイクログリアとマクロファージ分画など9つのクラスターが検出でき、その中で虚血部位に存在するものがCCR2陽性マクロファージ分画であること、そしてこの分画の浸潤制御(ROCK阻害剤又は抗MCP-1抗体)又は消去(塩化ガドリウム)により網膜虚血が改善することを見出した。本結果は眼内増殖の関連病態である網膜虚血の治療につながる可能性がある。③眼内増殖組織の1つである増殖糖尿病網膜症における線維血管増殖膜をOCT angiographyイメージングで解析を行なった。前向きに27症例29眼において蛍光眼底造影検査とOCT angiographyの10回撮影後加算平均処理を行い3次元解析を行なった。血管体積密度と蛍光眼底造影検査における活動性に有意な相関を認め、活動性バイオマーカーとなることが示唆された。さらに3次元血管構造解析により、3つのタイプに分類可能であった。本研究は非侵襲的な検査により、眼内増殖組織の活動性評価や術前の形態評価に有用となることが期待される。
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