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2020 年度 実施状況報告書

強膜小胞体ストレスによる病的眼軸伸長の分子機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K09834
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

池田 真一  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (50534898)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード近視 / UPR / PERK / ATF6 / 強膜
研究実績の概要

近視進行に強膜小胞体ストレスの関与を申請者は明らかにしているが、小胞体ストレスがどのように眼軸伸長に関与するのかどうかを検証するのが2020年度の目的であった。これに対して、小胞体ストレスによって活性化されるIRE1 (Inositol Response Element 1) 、ATF6 (Activating Transcription Factor 6)、PERK (PKR-like endoplasmic reticulum kinase)の3つのセンサータンパク質から始まるUnfolding Protein Response経路の阻害剤の点眼投与を近視誘導期間中に行った。その結果、阻害剤の単剤投与ではむしろ近視を促進することがありこのことはUPR経路の抑制により他経路が代償的に活性化されて近視進行を促進したと考えられた。そこで2種混合投与試験を行ったところPERKとATF6経路の同時阻害によって近視進行が抑制され、この2経路が近視進行に関わることが示唆された。また2経路のアゴニストの点眼投与は近視進行を誘導した。またテノン嚢下に高濃度のAAVを投与することで強膜において遺伝子発現をON/OFFに方法を確立した。その方法を用いて、IRE1, PERK, ATF6をCRISPER/Cas9システムによりノックダウンするとPERKのノックダウンでは近視化が認められたのに対して、ATF6のノックダウンは近視化を抑制することが明らかとなった。ATF6阻害剤の点眼投与は非近視誘導眼においても近視が誘導された事実とATF6ノックダウン実験による近視進行抑制の事実との矛盾は今後の検討課題であるが、PERK, ATF6経路が近視進行に関与することが強く示唆される結果である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の目標は近視進行に関わる小胞体ストレス下流のシグナル経路を特定することであった。遺伝子改変動物を使った試験を想定していたが、マウスのクリーン度の問題で本学動物施設に導入することができなかったが、その点は阻害剤・活性化剤を用いた試験を代わりに施行したことでカバーされたどころかむしろ遺伝子改変マウス実験からは得られなかったであろう知見も得られた。また、テノン嚢下注射による遺伝子発現制御法の確立は年度内に行うことができた。以上の結果から予定通り進展していると考える。

今後の研究の推進方策

次年度はAAVによる強膜遺伝子制御法を用いて複数遺伝子のノックダウン実験を行う。また、近視進行に関わるATF6, PERKの標的遺伝子を見出すためin silico解析をまず行い、その後そこから得られた遺伝子の発現解析、および遺伝子の過剰発現・欠損実験を行う。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件)

  • [雑誌論文] Oral Bovine Milk Lactoferrin Administration Suppressed Myopia Development through Matrix Metalloproteinase 2 in a Mouse Model2020

    • 著者名/発表者名
      Ikeda Shin-Ichi、Kurihara Toshihide、Toda Masataro、Jiang Xiaoyan、Torii Hidemasa、Tsubota Kazuo
    • 雑誌名

      Nutrients

      巻: 12 ページ: 3744~3744

    • DOI

      10.3390/nu12123744

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Murine Model of Ischemic Retinal Injury Induced by Transient Bilateral Common Carotid Artery Occlusion2020

    • 著者名/発表者名
      Lee Deokho、Miwa Yukihiro、Jeong Heonuk、Ikeda Shin-ichi、Katada Yusaku、Tsubota Kazuo、Kurihara Toshihide
    • 雑誌名

      Journal of Visualized Experiments

      巻: Nov 12 ページ: -

    • DOI

      10.3791/61865

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Estimation of the Minimum Effective Dose of Dietary Supplement Crocetin for Prevention of Myopia Progression in Mice2020

    • 著者名/発表者名
      Mori Kiwako、Kurihara Toshihide、Jiang Xiaoyan、Ikeda Shin-ichi、Yotsukura Erisa、Torii Hidemasa、Tsubota Kazuo
    • 雑誌名

      Nutrients

      巻: 12 ページ: 180~180

    • DOI

      10.3390/nu12010180

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Endurance Runners with Intramyocellular Lipid Accumulation and High Insulin Sensitivity Have Enhanced Expression of Genes Related to Lipid Metabolism in Muscle2020

    • 著者名/発表者名
      Kakehi Saori、Tamura Yoshifumi、Takeno Kageumi、Ikeda Shin-ichi、Ogura Yuji、Saga Norio、Miyatsuka Takeshi、Naito Hisashi、Kawamori Ryuzo、Watada Hirotaka
    • 雑誌名

      Journal of Clinical Medicine

      巻: 9 ページ: 3951~3951

    • DOI

      10.3390/jcm9123951

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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