研究実績の概要 |
今回検討するNorrin、Fz4、Tspan12、Lrp5の抑制はNorrie病やFEVR患者のみならず遺伝子ノックアウトマウスにおいても血管の伸展障害や脆弱血管の形成から増殖網膜症に進行する。我々が標的とする糖尿病網膜症や脈絡膜新生血管などに見られる血管の未成熟化や増殖などの血管病態と酷似する部分が多い。従ってその分子の発現やシグナル伝達機構の異常を同定することで全く新しい病態メカニズムの解明と治療法開発につながることが予想され着想に至った。 そこでNorrin /Frizzle4/ Lrp5/Tspan12系に焦点をあて、HUVECにおける高血糖状態、低酸素状態におけるRNAシークエンスデータ、そしてマイクロアレイデータで関連遺伝子群を検討した。 グルコース5.5.mMと50mM(高血糖)と比較したRNAシークエンスのデータから、TSPAN12は0.96(High glucose/Low glucose)、FZD4は1.11、LRP5は0.85で有意に上昇や低下を認めているものはなかった。また、NDPはFPKM0.5以下であり、HUVECにおける発現量はかなり低いと考えられた。 Hypoxia condition(O2 0.5%)におけるマイクロアレイデータ(GSE35932)においてもTSPAN12は0.91(Hypoxia /Normoxia)、FZD4は0.73で優位に上昇や低下を認めているものはなかった。 HUVECにH2O2を投与したコンディションでのマイクロアレイデータ(GSE104664)でも検討したが、FZD4 1.29 (H2O2 / control), LRP5 1.54, TSPAN12 1.23と大きな変化はしていなかった。高血糖、低酸素、H2O2でのトランスクリプトーム解析での変化は認められず、今回までのデータでは我々の仮設を立証することはできなかった。
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