研究課題/領域番号 |
20K09839
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
森藤 暁 立命館大学, 薬学部, 助教 (20647234)
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研究分担者 |
小池 千恵子 立命館大学, 薬学部, 教授 (80342723)
川村 晃久 立命館大学, 生命科学部, 教授 (90393199)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 網膜 / マウスES細胞 / 3次元網膜 |
研究実績の概要 |
これまでに、レンチウイルスにより、Quaking(Qki)が強くノックダウンされたマウスES細胞株のクローン1株については、3次元立体網膜分化法により網膜へと分化させると、眼胞形成以前で発生が停止するという表現型が得られている。この表現型がQkiのノックダウンによって得られることを証明するため、本年度は、さらに複数のQkiノックダウンクローンを得ることを試みた。マウスES細胞株へのレンチウイルスのノックダウンベクターの感染実験を行った結果、複数のQkiノックダウンクローンが得られたが、ウエスタンブロット解析によりQkiの発現抑制のレベルが十分でなく、これらのノックダウンクローンは眼胞期を越えて網膜へと分化し、Qkiのノックダウンが網膜初期発生影響するのかどうかについてはっきりとした結論を得ることができなかった。そこで、ノックダウンではなく、CRISPR/Cas9により、ノックアウトクローンを作製することを試みた。QkiをターゲットしたCRISPR/Cas9プラスミドを作製し、エレクトロポレーションによって、マウスES細胞株に導入し、シングルコロニーのピックアップ後、Qki抗体でウエスタンブロットを行ったところ、現在までに複数株のマウスES細胞株のノックアウトクローン候補が得られた。現在、CRISPR/Cas9によるQkiのターゲット周辺のゲノムDNA配列の塩基配列の解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルスによる影響で、研究を一時中断することとなったため、当初の予定より進捗状況がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに得られた、マウスES細胞株のノックアウトクローン候補から、ゲノムDNAを回収し、Qkiのターゲット領域周辺の塩基配列解析を行い、Qkiノックアウトとなる変異が導入されているかどうか確かめる。塩基配列レベルでもQkiノックアウトが確かめられれば、未分化マーカーの抗体染色や細胞増殖を調べることで、ES細胞の未分化培養に影響がないかどうかを調査する。未分化状態において、Qkiノックアウトによる表現型が見られないようであれば、3次元網膜に分化させて、in vitroでの網膜初期発生におけるQki機能欠損の影響の解析を行う。また、最初に得られたレンチウイルスによるQuaking(Qki)が強くノックダウンされたマウスES細胞株のクローン1株については、ターゲットのshRNA配列に変異を導入したshRNA耐性のQki cDNA配列を発現させることで、眼胞形成以前で発生が停止する表現型が回復するかどうかのレスキュー実験を行う。さらに、現在、国内外からQkiのノックアウトとコンディショナルノックアウトの解析のためQkiのノックアウトマウスとfloxマウスを入手する準備を進めており、Qkiの眼での個体レベルでの機能解析のため、これらのマウスを入手して解析を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスによる研究中断などにより、予定していた実験を遂行できなかったため、次年度使用額が生じた。今年度は、昨年度実施できなかった最初に得られたレンチウイルスによるQuaking(Qki)が強くノックダウンされたマウスES細胞株のクローン1株についてのレスキュー実験を行うため、プラスミド作製のためやレンチウイルス作製のための分子生物学的実験費用、ES細胞株の培養や3次元網膜作製のための細胞生物学的実験費用に使用する予定である。また、国内外からQkiのノックアウトマウスとコンディショナルノックアウトマウスを入手するためのマウスの輸送費用や飼育費用や実験費用にも使用する計画である。
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