これまでの解析で、コロニーピックアップ法により、Qki破壊ES細胞を作製したが、 Qki破壊クローンに野生型のES細胞が混入した可能性が考えられたため、今年度は、網膜前駆細胞のマーカーであるRx-GFP株で、ゲノム編集プラスミドをエレクトロポレーション後、限界希釈法により、Qki破壊ES細胞クローンを得た。ウエスタン解析で同定した、2つの異なるgRNA配列由来のQki破壊ES細胞クローンを3次元網膜分化法で、網膜分化を行ったところ、どちらのクローンでも眼胞様の突出が観察され、一方のgRNA配列由来のクローンでは、GFPの蛍光も観察された。これらのことから、Qkiが網膜前駆細胞形成期や眼胞突出期などの網膜初期発生期に関与しているとは考えにくいことがわかった。 個体レベルでのQkiの機能解析のため、カナダのStephan Richard博士より、Qki floxマウスを入手することにした。カナダの動物施設での微生物検査から、立命館大学の動物施設への直接の搬入は困難だったため、カナダから実験動物中央研究所へ空輸してもらい、実験動物中央研究所で体外受精によるマウスの清浄化を行ってもらったのち、立命館大学に搬入した。Qki floxマウスと網膜特異的発現のCreマウスとの掛け合わせから網膜特異的Qki CKOマウスを作製し、免疫染色による組織解析を行ったところ、Qkiを網膜特異的にノックアウトできていることが明らかとなった。現在、さらに詳細に解析を行なっている。
|