研究課題
これまで我々は、増殖糖尿病網膜症(PDR)患者の硝子体液中ではIL^17A、high-mobility group box-1 (HMGB1)、およびオステオポンチン(OPN)の濃度が他の網膜疾患患者よりも有意に高いこと、そして糖尿病網膜症自然発症マウスでは、OPN産生T細胞分化が促進されていることを認めた.本研究では、OPNの糖尿病網膜症おける網膜血管透過性亢進への関与について検討を行った.ストレプトゾトシン誘発糖尿病マウス (STZ マウス) の血清および網膜OPN濃度は、対照と比較して有意に高値であり、STZマウスの網膜における 血管透過性亢進は抗OPN中和抗体(抗OPN Ab)の硝子体内投与(IVI)により抑制された.網膜血管バリアを形成しているclaudin-5およびZO-1の発現は、STZマウスの網膜で減弱し、抗 OPN AbのIVIにより改善されたが、OPN AbのIVIは眼内における血管内皮増殖因子(VEGF)の遺伝子発現およびタンパク濃度に影響を及ぼさなかったことから、OPNによる網膜血管の透過性亢進はVEGF非依存性であることが示された.高血糖およびOPNの網膜内皮細胞(REC)への直接的な作用をヒトREC (HREC) を用いて調べたところ、高血糖によりHREC のバリア機能はclaudin-5 と ZO-1の発現とともに低下し、OPNの存在下ではさらに悪化したが、VEGF および VEGF 受容体2の 発現レベルは変わらなかった.これらの結果は、OPNが糖尿病網膜症において網膜血管の透過性亢進を誘導することを明らかにし、糖尿病網膜症の重症化を防ぐ治療ターゲットとなりえる可能性を示唆した.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件)
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