研究実績の概要 |
マウスリンパうっ滞モデルおよび創傷瘢痕モデルを用い、急性期から亜急性期における再疎通の障害が慢性うっ滞、線維化の進行の主体であると考え、リンパ流損傷時の順調な再疎通を示すマウスモデルと、再疎通障害を示すマウスモデルを作成して検証した。生体のICG fluorescent lymphography並びに組織学的にリンパ流と、リンパ管、リンパ節の観察を行い、組織の変性について記録した。リンパ節については、1400m,InGaAsカメラを用いた評価を併用した。マウスの腹部リンパ節を用いたリンパ節付き皮弁モデルを作成し、その血流安定性、皮弁生着範囲を確認した。さらに、阻血皮弁、鬱血皮弁モデルを作成し、それぞれの血流不全時におけるリンパ節の組織学的変化を記録した。鬱血、阻血環境における線維化活性化状態として、組織中のCD69-Myl9 systemの活性化が深くかかわっていることを示した。うっ血環境においては、皮下組織での血球成分の漏出がリンパ管への流入に伴い、一連の炎症反応が活性化され、線維化をきたしていると考えられた。マウスの皮膚皮下組織損傷後の瘢痕形成について、骨髄由来細胞の動員の程度による定量化を行い、瘢痕形成を低減させる手法について検証を行った。ヒト皮膚皮下組織の炎症に伴う不可逆な線維化について、リンパ浮腫の進行に伴う線維化の進行と、創傷治癒過程における異常瘢痕(ケロイド、肥厚性瘢痕)の解析を進めた。高度線維化に伴い発現する蛋白について明らかにし、免疫組織学染色を用いた確認した。末梢血細胞においては慢性炎症の強い症例における炎症所見を示す分子は見られたが、線維化を証明する変化は観察されなかった。
|