研究課題/領域番号 |
20K09850
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
呉 雲燕 自治医科大学, 医学部, ポスト・ドクター (40636586)
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研究分担者 |
吉村 浩太郎 自治医科大学, 医学部, 教授 (60210762)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 浄化濃縮幹細胞培養上清 / 幹細胞培養上清 / 脂肪由来間質幹細胞 / ASC |
研究実績の概要 |
本研究では、ヒト脂肪間質幹細胞(human adipose-derived stromal/stem cells, hASC)由来培養上清の浄化濃縮法の開発を通して、浄化濃縮培養上清による新たな再生治療法の確立を目的とする。具体的に、① 高機能培養上清を回収するための最適な培養方法を確立する。② ①で回収した培養上清を対象として、代謝老廃物除去かつ有用因子濃縮する方法を開発する。③ 疾患動物モデルを用いて、浄化濃縮培養上清による創傷治癒への有効性と安全性を評価することにより臨床研究用の治療プロトコールを確立する。 今年度は、①高機能培養上清回収するための最適な培養方法を確立した。培養環境酸素濃度(21%、6%、1% O2)、播種時細胞密度、培養期間、血清有無等培養条件の変動による培養上清中有用因子、有害物質の定量解析を行った。有用因子では、代表的な因子である肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor, HGF) の濃度をELISA法にて解析した。一方、有害物質であるアンモニアの濃度では、乾式臨床化学分析装置(富士フィルム NX10N)を用いて測定した。 低酸素環境(1% O2)と比較して、正常酸素濃度(21% O2)条件で培養したASCでは、HGF分泌能が高かったことが確認された。一方、アンモニアの産生は、細胞数及びHGF産生と正の相関を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、ASC培養の最適な培養条件(酸素濃度、播種細胞密度、培養期間、血清有無)を確立すくことができ、概ね計画通りに進めていた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、培養上清から有害物質除去および有用因子の濃縮法を開発し、最適化する。すなわち、最適な培養条件下で回収した培養上清から、有害物質(乳酸やアンモニアなど)を除去し、タンパク質などの有用因子を濃縮され、培養上清の浄化濃縮法を開発する。 さらに、体外実験にて浄化濃縮培養上清による細胞増殖へ効果を検証する。具体的に、浄化濃縮した培養上清と新鮮培地をさまざまな割合で混合した培地を用いてASC、血管内皮細胞や線維芽細胞を培養し、細胞増殖能を WST-8 assay、Colony-Forming Unit assay によって測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、抗体アレイ法による培養上清のセクレトーム解析を完了できなくなった。抗体アレイを実施するため、RayBiotech社増殖因子抗体アレイ解析キットが必要になる。しかし、新型コロナの影響による上記キットの購入ができなくなったため、未使用額が生じた。 次年度は、増殖因子抗体アレイキットを購入するため、使用する予定である。
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