研究課題/領域番号 |
20K09856
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
河合 建一郎 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (80423177)
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研究分担者 |
久保 盾貴 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00362707)
藤原 敏宏 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (00423179)
西本 聡 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (30281124)
石瀬 久子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30567194)
垣淵 正男 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (50252664)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 創傷治癒 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
創傷治癒に影響を与える因子の一つとして酸化ストレスがある。酸化ストレスは組織障害を引き起こす“悪玉論”で語られることが多いが、酸化ストレスの主体であるROSはシグナル伝達(ROS/Redoxシグナル)にも利用されており、実は生理的に重要な働きも持つ。創部は酸化ストレスの大きい部位であるが、創部において生体がいかに酸化ストレスを避けつつROS/Redoxシグナルを利用しているかは不明である。 本研究では酸化ストレスに応答するメカニズムとして、Ca2+チャネルの一種であるTRPC3に着目する。皮膚線維芽細胞がTRPC3を介して組織における酸化ストレスに感応し、酸化ストレス耐性を獲得することで組織修復へ導くメカニズムを解明する。 レトロウィルスを用いたTRPC3過剰発現細胞およびそのコントロール細胞は作成しストック済みである。本研究ではこれに加えてCRISPR Cas9システムを用いてTRPC3ノックアウト細胞を作成し、各種assayを行う計画となっている。 本実験で使用するTRPC3過剰発現細胞は以前別の実験で作成したもので長期間ストックされていたものである。性質に変化がないか、以前のデータを再現できるかの予備実験を行い大きな性質の変化がないことを確認した。また、CRISPR/Cas9システムを用いたノックアウト細胞の作成を行うため、ベクターとしてPX330-U6-Chimeric-BB-CBh-hspCas9を用いてTRPC3のターゲット配列をインサートしたものをクローニング、NIH3T3にトランスフェクションしクローニングまでは行ったがうまくノックダウンできていなかった。その他学会などに参加し他の研究者の意見を聞いた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナによって研究以外の業務が増加したことに加え、機器の故障などがあり、それらを修理もしくは新たに購入する必要があったが、物流の停滞でなかなか機器が納品されないということもあった。 上記の状態の中、TRPC3過剰発現細胞は長期間ストックしていたため、これが以前の通りの性質を保っているか確認する必要があり、データの再現性が取る実験にも時間をとられた。またCRISPR/Cas9システムがうまく機能しないため原因を探っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後行う実験としては、① TRPC3ノックアウト線維芽細胞の作製、②酸化ストレスに対するTRPC3陽性細胞の反応性の観察、③創部でのTRPC3陽性線維芽細胞の発現とクリアランスの観察、④ 細胞構成物の酸化度の観察、⑤ TRPC3陽性細胞の酸化ストレス耐性の観察、⑥Gタンパクの酸化修飾についての解析、⑦ストレス応答キナーゼシグナルの調査、⑧TRPC3作動薬、阻害薬のマウスへの投与実験、⑨ヒト慢性創傷での確認 を予定している。②以下は①のノックアウト細胞が必要となるため、まずCRISPR Cas9システムを用いてTRPC3ノックアウト細胞の作成を急ぐが、現状ではCRSPR Cas9システムがうまく機能していないためノックアウト細胞の作成がうまくいかなかった場合は過剰発現細胞のみを用いて②以下を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度計画していた実験が計画通りに遂行できなかったため。次年度に必要な試薬や消耗品の購入を予定している。
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