研究課題
本研究では酸化ストレスに応答するメカニズムとして、Ca2+チャネルの一種であるTRPC3に着目し、皮膚線維芽細胞がTRPC3を介して組織における酸化ストレスに感応して酸化ストレス耐性を獲得することで組織修復へ導くメカニズムを解明することを目標としていた。レトロウィルスを用いたTRPC3過剰発現細胞およびそのコントロール細胞は作成しストック済みであったため本研究ではこれに加えてCRISPR Cas9システムを用いてTRPC3ノックアウト細胞を作成し、各種assayを行う計画となっていた。しかしながらCRISPR Cas9システムを用いたTRPC3ノックアウト線維芽細胞がどうしてもうまくできなかった。このため、研究最終年度に研究の方向性を修正し、これまでに得ていた創傷治癒におけるTRPC3の役割についての知見について掘り下げて研究を行い、成果を出すことに目標を変更した。具体的には、TRPC3関連のパイロット研究で得ていた機械的刺激時における線維芽細胞と表皮細胞との相互作用について調査を行った。機械的伸展刺激によって表皮細胞から分泌されるEndothelineが増加するが、一方で機械的伸展刺激によって線維芽細胞においてはEndothelin受容体の発現が増加する。Endotheline受容体にEndothelineが結合するとG蛋白などを介してTRPC3が活性化され、カルシウムの細胞内への流入が増加し、転写因子のNFATを介して創の線維化を促す遺伝子発現が上昇する。以上のメカニズムを研究し2023年度までに論文作成を行った。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Plastic and Reconstructive Surgery Global Open
巻: 11 ページ: e4954
10.1097/GOX.0000000000004954