研究課題/領域番号 |
20K09859
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
黒田 正幸 千葉大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (00253005)
|
研究分担者 |
窪田 吉孝 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (10375735)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 脂肪細胞 / 移植 / 生着率向上 |
研究実績の概要 |
申請者らは前駆脂肪細胞にex vivoで治療用遺伝子を導入し、それを患者に移植することで治療用タンパクの体内における持続的な補充を可能とする独自の治療研究を進めている。再生医療等安全性確保法の下、希少疾患である家族性LCAT欠損症を対象とした第一種再生医療臨床研究を実施しており、患者における有効性が示されつつある。この治療原理の汎用性を飛躍的に高めるには、移植細胞が体内で高率に生存・生着する新たな原理の確立が喫緊の課題である。本研究では、移植後生体内で生存した細胞を取り出し、移植前の細胞と比較することで、生存している細胞がなぜ移植後の環境で生存・生着し得たのかを解明し、細胞の移植環境適応性に基づく新たな移植効率向上に関連した責任遺伝子を同定、さらにその修飾・制御により前駆脂肪細胞移植効率を向上させる新たな原理の確立を目的とする。 R3年度はR2年度のRNAseq解析で生着に寄与する候補遺伝子として同定した遺伝子について、pathway解析に基づき、さらに絞り込みを行った。その結果、数種の転写制御因子が確認された。R2年度のRNAseq解析は、1ロットの初代培養前駆脂肪細胞の解析であったことから、中空糸包埋前の複数の初代培養前駆脂肪細胞を解析し、精緻なベースラインデータを取得することとした。現在複数ロットのRNAseq解析を終え、その評価を行っている。また、候補として同定された遺伝子は、転写制御因子であるため、生着以外にも寄与する可能性が考えられる。どのpathwayに関与しているかを明らかにするため機能解析を予定している。そのため、初代培養細胞である前駆脂肪細胞への遺伝子導入条件や各種ウイルスベクターコンストラクトを作製中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
R2年度の解析が1ロットのみであったため、普遍性に基づいた評価が必要であると考えられた。従って、複数ロットの前駆脂肪細胞を使用して、無処置の条件下でのベースラインデータを取得する必要があると判断した。その解析結果に基づいて候補遺伝子の精査を行う必要性があった。
|
今後の研究の推進方策 |
コロナウイルス感染症拡大の影響下で、新たな健常人ドナーからの脂肪組織が手に入りづらい状況となっている。従って、凍結保存されている前駆脂肪細胞を使用するなどの工夫を行う必要性がある。R4年度は同定した遺伝子の機能解析を通じて、生着率に関与するpathwayを絞り込み、生着率向上のための新たな原理を見出す予定である。
|