研究課題/領域番号 |
20K09860
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
宮田 昌幸 新潟大学, 医歯学系, 講師 (30261928)
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研究分担者 |
長谷川 剛 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (90251800)
岩倉 百合子 新潟大学, 脳研究所, 助教 (40452081)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 抗ストレス / 創傷治癒 / 糖尿病 / 脳由来神経栄養因子 / 上皮成長因子 |
研究実績の概要 |
抗ストレス薬は抑うつ状態のみならず創傷をも改善させ得る可能性について、マウスモデルを用いて証明することを目的とするためストレスを負荷したマウスに抗ストレス薬を投与して効果を判定する。その創傷治癒効果の評価に用いる最適の因子として、血液中の脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor: 以下BDNF)の他に上皮化成長因子(epidermal growth factor:以下EGF)を追加することを決定し必要な試薬を購入した。測定の意義と実現可能性について研究分担者(岩倉百合子 研究所助教)とは緊密に検討を加えてきた。さらにBDNFとEGFを酵素化学免疫吸着法で測定する系を脳研究所に立ち上げ直ちに測定できる体制を整え実験動物を導入する段階となった。また、組織標本を作製し上皮および真皮の欠損長、肉芽面積をHE染色、Masson Trichrome染色標本にて求める際の標本の採取法および新生細胞、新生血管、神経の関与、炎症所見ついて、CD31(PECAM-1) 、CD45抗体などマウスに用いる試薬を研究分担者(長谷川 剛特任教授)と協議して購入する段階となった。 マウスの創傷は肉様層の収縮により人体では生じない過度の創収縮が起こるため、この作用を打ち消すため一般にはディスクを逢着する。しかし、糖尿病マウスではこの操作で褥瘡を形成する危惧があるためより低侵襲で皮膚愛護的なハイドロコロイド材を用い創傷治癒過程を観察することとした。 以下については進捗した。 ①治癒と関連する血液学的な因子を測定する系を慎重に立ち上げ(研究分担者、技官、大学院生との分担と協力体制の実際)。②各実験段階において有意差が確認できる必要最小の動物個体数の確定。③皮膚欠損創の作成法と部位および肉様層による過度の創収縮を抑制する材料の決定。糖尿病マウスは縫合による固定は褥瘡形成が危惧されるため、粘着力と皮膚保護性を兼備した被覆材の決定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ストレス下の糖尿病マウスは待機飼育期間が短く購入後は直ぐ実験を開始する必要があるため、下記の点についてさらに十分な検討を加えるのに日数を要した。 ①治癒と関連する血液学的な因子を測定する系を慎重に立ち上げた(研究分担者、技官、大学院生との分担と協力体制の実際)。②各実験段階において有意差が確認できる必要最小の動物個体数の確定。③皮膚欠損創の作成法と部位および肉様層による過度の創収縮を抑制する材料の決定。糖尿病マウスは縫合による固定は褥瘡形成が危惧されるため、粘着力と皮膚保護性を兼備した被覆材の決定。 研究者分担者との協議および第65回日本形成外科学会総会・学術集会、第31回日本形成外科学会基礎学術集会などへの参加を通じて以上の点に専門的知識を有する研究者と意見交換を繰り返した。 上記を概ね進めたが、COVID-19の世界的な感染拡大とウクライナでの戦争の影響で海外からの糖尿病マウス供給が一時的に途絶えた上に円安が進み購入が困難となったことが更なる遅延につながった。
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今後の研究の推進方策 |
糖尿病マウスの供給が再開されたので下記について最終的な検討後に2023年度中に開始する。 1)抗ストレス薬の最終的な投与法及び投与量。2)皮膚欠損創の作成部位と過度の創収縮を抑制する方法の確立。 特に以下の点について速やかに着手したい。ストレス負荷と抗ストレス薬投与による抗ストレス薬の創傷治癒促進効果の判定。この結果により抗ストレス薬の効果が認められた場合は、次の段階としてストレス負荷無しのマウスモデルで抗ストレス薬が創傷治癒を促進するかに関して実験とそのデータ解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度に購入予定であった実験動物及び試薬などや実験に必要な資材の調達が遅れた。特に動物と試薬は研究費全体に占める割合が高く、複数回の購入はできないため海外からの一時供給停止と円安の背景などにより購入が遅れた。 2023年度は供給が再開されており、速やかに購入を進めたい。
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