研究課題/領域番号 |
20K09872
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
菅 浩隆 帝京大学, 医学部, 教授 (60633972)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 創傷治癒 / マクロファージ |
研究実績の概要 |
研究内容については関連施設における倫理委員会の承認を得た。ヒトの創傷部位から肉芽組織を採取し,存在する細胞をフローサイトメトリーで解析する手法を確立した。肉芽組織をハサミで細切し,コラゲナーゼ処理を行った。結合組織をフィルターで濾過した後,遠心処理を行うことにより細胞成分のみを回収した。抗体反応の後,フローサイトメトリーでの解析を行った。まずはCD45陽性の免疫系細胞とCD45陰性の非免疫系細胞(線維芽細胞,血管内皮細胞など)に大きく分類した。CD45で標識された免疫系細胞は,さらに顆粒球,リンパ球,単球・マクロファージ系細胞の3群に分類可能であった。顆粒球はCD11b陽性/CD15陽性の細胞,単球・マクロファージ系細胞はCD11b陽性/CD14陽性の細胞として同定された。リンパ球はさらに表面マーカーによる細分が可能であり,CD4陽性のヘルパーT細胞,CD8陽性の細胞傷害性T細胞,CD19陽性のB細胞に分類可能であった。末梢血におけるそれぞれの細胞の存在割合と比較して,肉芽組織においては単球・マクロファージ系細胞の存在割合が高いことが示唆された。また,単球・マクロファージ系細胞の一部は,M2タイプのマクロファージの指標であるCD206を発現していることも確認できた。検体による存在割合のばらつきはあるものの,解析手法としては安定した結果が得られるレベルにまで達していると考えられた。今後はさらに検体数を増やしてく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フローサイトメトリーで解析した検体の数が少なく,統計的な有意差などはまだ得られていない。また,肉芽組織中のマクロファージを同定することは可能となったが,まだソーティングして回収するレベルにまでは達していない。
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今後の研究の推進方策 |
解析する検体の数を増やして統計的な有意差のあるデータを取得する。また,肉芽組織中のマクロファージをソーティングして回収する手法を確立し,マクロファージの機能解析などの実験へとつなげる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析した検体数が予定より少なく,必要な物品が少なく済んだため。今後は検体数を増やして研究を進めていく予定である。
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