研究課題/領域番号 |
20K09873
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
樫村 勉 日本大学, 医学部, 准教授 (20570740)
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研究分担者 |
副島 一孝 日本大学, 医学部, 教授 (00246589)
中村 一博 日本大学, 医学部, 助教 (10338832)
宇山 一朗 藤田医科大学, 医学部, 教授 (60193950)
奥本 隆行 藤田医科大学, 医学部, 教授 (70308857)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ロボット支援手術 / ダビンチ / da vinci / マイクロサージャリー / 血管吻合 |
研究実績の概要 |
マイクロサージャリーによる再建外科へのロボット支援手術の応用に関する検討を行っている。令和2年度は、ロボット支援手術で微小血管吻合の手技を行うことが可能かを各種の模擬血管を用いて検証した。微小血管吻合の検証には、手術支援ロボットのda Vinci Si(Intuitive Surgical社)を使用した。検証に先立ち、認定施設で機器の概要および設置方法などの事前学習を行った。さらに、シミュレーターでのトレーニングを行った。 その後、模擬血管を用いて血管吻合の検証を行った。da Vinci Si(Intuitive Surgical社)で純正インストゥルメント(鉗子)にマイクロフォーセプスを使用した。模擬血管はWetLab(φ1mm、2mm、3mm、4mm(ウェトラブ社))、縫合糸は9-0、10-0ナイロン糸(ベアーメディック社)を用い、ロボット支援下に血管モデルの吻合を行い検討した。 術者は、操作コンソールで安定した姿勢のまま円滑に全ての操作を行うことができた。9-0、10-0のサイズの針と糸の把持および運針は支障なく、φ2mm以上の血管モデルでは、安定して血管吻合の操作を行うことができた。しかし、強拡大術野での吻合操作を要するφ1mm以下の血管モデルでの吻合操作に際しては鉗子の一部が視野から外れてしまい操作が困難であることが課題であった。 令和2年度の検討では、遊離皮弁移植などのφ2mm程度までの血管径では現状の機器でも応用が可能と思われた。一方で、φ1mm未満の血管吻合には新たな鉗子の開発などが必要であることが明らかになった。 これらの研究の成果を第64回日本形成外科学会のシンポジウムで発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間の初年度として、その後の基礎となる実験を行うことができた。COVID19の拡大により移動および関係者とのミーテイングが制限されていたが、オンラインでのミーティングを活用するなどして必要な研修や情報収集を行うことが可能であった。さらに、自施設において模擬血管を用いた研究を行うことができた。 令和3年度には自施設での模擬血管の吻合に関する研究の継続および口腔モデルを用いた皮弁の縫合の研究を計画している。これらは、前年度の成果を応用することが可能であり、予定どおり、実験を遂行できる見込みである。また、COVID19の拡大状況を確認しつつ移動と面会と伴う動物実験を遂行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、生体での微小血管吻合の検証および人工モデルを用いた口腔内の再建の検証を予定している。 1.微小血管吻合の検討 これまでに模擬血管を用いてロボット支援手術においてマイクロサージャリーの微小血管吻合への応用が可能であることが示唆された。藤田医科大学の研究施設において、da Vinci(Intuitive Surgical社)を用いてブタの血管を用いて生体での血管吻合の検証を行う予定である。 2.再建外科における口腔内の手術操作の検証 経口的ロボット支援手術(Trans oral robotic surgery; TORS)に続く口腔内への皮弁の縫合について検討を行う予定である。血管吻合の検証と同様に、人工の口腔モデルを用いて検証から開始を行う予定である。モデルの口腔内に欠損を作成し、再建材料である皮弁を模した材料をda Vinci Si(Intuitive Surgical社)で欠損部に縫合できるかを検証する予定である。 上記の研究成果を学会および論文で発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19の影響により予定していた研修やミーティングの一部を行うことが不可能であり、当該年度の未使用分を生じた。 2021年度には、動物を用いた血管吻合の検討および再建外科における口腔内の手術操作の検証を行う予定である。血管吻合については、藤田医科大学のトレーニングセンターにてブタの大腿動脈などを用いた血管吻合の研究を予定している。同施設で使用する実験動物、器材を購入する予定である。実験施設間の移動で予算を使用する予定である。口腔内の手術操作については、経口的ロボット支援手術(Trans oral robotic surgery; TORS)に続く口腔内への皮弁の縫合について検討を行う。人工の口腔モデルを用いて検証を行う予定である。検証に使用する人工材料や縫合に使用する消耗品および器材を購入する予定である。また、これらの研究結果をまとめ、学会発表および論文の執筆をする費用して使用する予定である。
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