CRISPR/Cas9 systemで作成したヒトOpn3-KO褐色脂肪細胞を用いて、ミトコンドリア数の測定およびミトコンドリアの活性測定を行った。ミトコンドリア数およびミトコンドリア活性はOpn3-KOヒト褐色脂肪細胞で減少していた。また、光照射実験を行い褐色脂肪細胞マーカーの遺伝子およびタンパク発現を確認した。その結果、ucp1は光照射では発現に変化がないがOpn3欠損により発現が上昇した。つまり、Opn3は光非依存的にucp1の発現を正に調節していることが分かった。一方、糖取り込みはOpn3欠損により増強するが、Opn3の有無に関わらず光照射にて増強される。これはGlut1の発現変化の傾向と同様であった。つまり、Glut1を介した糖取り込みに関してはOpn3を介して光依存・非依存的な双方の経路にて正に調節されることが分かった。また、ミトコンドリア活性は光照射により著しく低下するがOpn3欠損によりある程度低下が抑制される。同様な傾向はミトコンドリア数の変化でも確認された。つまり、ミトコンドリア数とミトコンドリア活性はOpn3を介した光刺激により主に負に調節されていることが分かった。加えて、Opn3-KOヒト褐色脂肪細胞にOpn3を過剰発現させた細胞株を樹立し、分化能に問題がないことが確認された。この細胞株を用いてOpn3欠損による遺伝子発現および機能変化が回復されるかを確認する。
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