研究課題/領域番号 |
20K09889
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
西田 崇 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (30322233)
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研究分担者 |
滝川 正春 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (20112063)
久保田 聡 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (90221936)
服部 高子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (00228488)
青山 絵理子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (10432650)
高江洲 かずみ (河田かずみ) 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (10457228)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 線維化 / イントラクリン作用 / CCN2 / PU.1 / 筋線維芽細胞 |
研究実績の概要 |
線維性疾患のキープレイヤーである筋線維芽細胞はI型コラーゲンやαSMAを産生することが知られているが、その分化メカニズムは未だ明らかにされていない。本研究課題は筋線維芽細胞の分化にCellular communication network factor 2 (CCN2)が関わっているのか、そしてどのように関わっているのかを明らかにすることである。当該年度では、マウス線維芽細胞株NIH3T3細胞にCCN2を過剰発現させた時の筋線維芽細胞への分化に対する影響を解析した。以下にその結果を示す。 1.シグナルペプチドを欠失したCCN2発現プラスミド(Sp-Ccn2)あるいはシグナルペプチドを付加したCCN2発現プラスミド(Sp+Ccn2)をNIH3T3細胞に遺伝子導入した結果、シグナルペプチドの有無に関わらず、一部のCCN2は核内に認められた。 2.Sp-Ccn2あるいはSp+Ccn2プラスミドを遺伝子導入したNIH3T3細胞からtotal RNAを抽出し、筋線維芽細胞分化に重要な転写因子であるPU.1 (Spi1)の遺伝子発現レベルを定量RT-PCRで調べた結果、Sp-Ccn2を遺伝子導入した群ではempty vector (EV)を導入した群と変わらなかったが、Sp+Ccn2を遺伝子導入した群はSpi1の遺伝子発現レベルが有意に上昇した。また、Sp+Ccn2を遺伝子導入した群ではEVを導入した群と比較して、αSMAの遺伝子発現レベルが有意に上昇した。 3.転写共役因子YAPとCCN2が結合することを免疫沈降-Western blot法で確認した。 4.Sp+Ccn2を遺伝子導入後、抗CCN2抗体でクロマチン免疫沈降し、CCN2及びPU.1のプロモーター領域のプライマーを用いてPCRを行った結果、CCN2及びPU.1共にバンドが検出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度の研究計画は、線維芽細胞にSp-Ccn2プラスミドあるいはSp+Ccn2プラスミドを遺伝子導入した後、核内に移行したCCN2の機能解析を主眼にしており、当該年度において、マウス線維芽細胞であるNIH3T3細胞を用いて、クロマチン免疫沈降-PCR法によってCCN2がCCN2プロモーター及びPU.1プロモーター上に結合することを示唆する結果を得た。このことから、本年度の研究課題は概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、本研究課題の最終年度であるため、論文の作成に着手すると共にSp+Ccn2を遺伝子導入したNIH3T3細胞からgenomic DNAを単離し、抗CCN2抗体で免疫沈降した後、そのDNA断片を超高速シークエンシングすることで、CCN2がDNAのどの領域と相互作用するのかを網羅的に解析する。この結果と今回の結果が一致することを確認するだけでなく、筋線維芽細胞分化に重要な新規の転写因子の同定を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 令和3年度は、線維芽細胞であるNIH3T3細胞を用いて核内に移行したCCN2のCCN2自身あるいはPU.1における影響の解析に主眼を置いており、網羅的な解析まで着手できていないためである。 (使用計画) 令和4年度は核内移行したCCN2の更なる機能解析を行う目的で、Chip-Seqによる網羅的な解析を行う予定である。また、本研究成果を発表するための論文作成に着手する。
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備考 |
口腔生化学分野ホームページ https://www.okayama-u.ac.jp/user/seika/index.html
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