研究課題
線維性疾患のキープレイヤーとして重要な役割を担う筋線維芽細胞はI型コラーゲンやα-SMAを産生することが知られている。しかし、その分化メカニズムは未だ明らかにされていない。本研究課題の目的は、核移行シグナル様の配列を持つCellular communication network factor 2 (CCN2)が線維化細胞の核内に移行するのか、そしてもし核内に移行するのであれば、それが筋線維芽細胞への分化にどのように関わっているのかを明らかにすることにある。当該年度は、これまで得られた研究成果を検証し、論文投稿を行った。以下に論文要旨を示す。1. シグナルペプチドを欠失したCCN2発現プラスミド(Sp-Ccn2)あるいは全長のCCN2発現プラスミド(Sp+Ccn2)をNIH3T3細胞に遺伝子導入した結果、Sp-Ccn2を遺伝子導入した細胞ではCCN2の核移行は見られなかったが、Sp+Ccn2を遺伝子導入した細胞では、一部のCCN2が核へと移行した。2. Sp-Ccn2あるいはSp+Ccn2を遺伝子導入したNIH3T3細胞において、筋線維芽細胞分化に重要な転写因子であるPU.1 (Spi1)の遺伝子発現レベルがSp+Ccn2を遺伝子導入した群で有意に上昇した。また、α-SMAの遺伝子発現レベルも有意に上昇した。3. CCN2がPU.1プロモーター上に結合することをクロマチン免疫沈降PCR法及びゲルシフトアッセイで確認した。4. CCN2とPU.1との物理的な結合を免疫沈降-Western blot法で明らかにした。5. CCN2はCCN2プロモーター上にも結合し、Sp+Ccn2とSpi1の発現プラスミドをNIH3T3細胞に共発現させたところ、Ccn2の遺伝子発現レベルが著明に上昇した。
すべて 2024 2023 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)
Carcinogenesis
巻: 44 ページ: 695-707
10.1093/carcin/bgad057
J Cell Commun Signal
巻: 17 ページ: 1501-1515
10.1007/s12079-023-00782-7
巻: 17 ページ: 353-359
10.1007/s12079-023-00723-4.
Methods Mol Biol.
巻: 2582 ページ: 255-268
10.1007/978-1-0716-2744-0_17.
https://www.okayama-u.ac.jp/user/seika/index.html