研究課題/領域番号 |
20K09890
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研究機関 | 東亜大学 |
研究代表者 |
向井 悟 東亜大学, その他の研究科, 准教授 (90467887)
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研究分担者 |
自見 英治郎 九州大学, 歯学研究院, 教授 (40276598)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エストロゲン / 肥満 / NIK / 糖代謝 |
研究実績の概要 |
超高齢社会において、健康寿命の延伸は重要な課題である。閉経後の女性は、骨密度の低下による骨折リスクや体重の増加による糖尿病や心血管障害のほか、乳がんなど女性特有のがんの発症リスクが上がることが報告されており、エストロゲン欠乏による骨密度の低下と体重増加は各臓器で共通の反応を惹起することが考えられる。NIKの遺伝的機能欠失型変異によって非古典的経路が抑制されたalymphoplasia(aly/aly)マウスは骨吸収が抑制されて大理石骨病を呈する。また、NIKの阻害剤Cpd33を卵巣摘出マウスに投与すると、骨量の減少だけでなく、内臓脂肪の増加による体重増加も抑制されることを見出した。そこで、エストロゲン欠乏による骨量減少と体重増加に、NIKが『共通制御分子』であることを想定した。8週齢の野生型およびaly/alyマウスを偽手術(sham)群、および卵巣摘出術(OVX)群に分け、高脂肪食(HFD)で12週間飼育したところ、aly/alyマウスでは、野生型マウスと比較して、OVXによる内臓脂肪および肝臓の重量の著明な増加が抑制されていた。また、糖代謝に関する検証を行ったところ、エストロゲン欠乏とHFS食餌摂取によるグルコース代謝障害が、非古典的なNF-κBシグナル伝達が障害されているaly/alyマウスで改善されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
8週齢の野生型およびaly/alyマウスを偽手術(sham)群、および卵巣摘出術(OVX)群に分け、高脂肪食(HFD)で12週間飼育し、体重増加、耐糖能およびインスリン抵抗性を検討した。野生型マウスはsham群と比較して、OVX群で著明な体重増加が認められたが、aly/alyマウスでは、OVX群でわずかに体重増加が認められたものの、著明な増加は認められなかった。さらに野生型マウスのOVX群では、内臓脂肪および肝臓の重量の著明な増加を認め、白色脂肪細胞の肥大化、および脂肪肝が認められた。一方で、aly/alyマウスのOVX群では、内臓脂肪および肝臓の重量は殆ど変化せず、白色脂肪細胞の肥大化および肝臓の脂肪の蓄積もほとんど見られなかった。これまでに体脂肪の増加や肝臓への脂肪蓄積がインスリン抵抗性を惹起することが知られていることを踏まえ、つづけてGlucose tolerant test(GTT)及びInsulin tolerant test(ITT)を行った。その結果、野生型マウスではsham群よりもOVX群で血糖値が高く、血糖クリアランスは遅かった。一方で、aly/alyマウスの血糖値の変動はsham群とOVX群に有意差が認められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
肝臓への脂質蓄積の分子機構を検証するために、脂質代謝関連遺伝子の発現レベルをリアルタイムPCRにて解析を進める。さらに骨の3次元構造解析を進めるとともに、骨組織学解析、血清中の骨吸収マーカーであるTRAP5b、RANKLを定量することで、骨吸収の程度の定量化を目指す。
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