研究課題/領域番号 |
20K09895
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
阿部 伸一 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (40256300)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 筋腱接合部 / Sox9 / 筋付着部 |
研究実績の概要 |
申請者は、予てより運動器の要となるMyotendinous Junctionについて、様々な視点からの研究成果を報告してきた。そこで本申請研究では、「Myotendinous Junctionの強固な連結」にとって重要な筋束断端の“筋内腱”の形成過程について検索する。そこで今年度は、正常マウスを用い顎関節部、対象として肋間筋付着部を対象とし、固定・包埋・各種染色・生化学的検索を行った。その中でMyotendinous Junction において、腱組織だけでなく筋束断端部(腱付着部)内にもSox9が時期特異的に発現していることを明らかにした。すなわちその部位に、筋内腱を形成している可能性がると考えられた。以上の事から、本年度の研究成果として、『筋線維芽細胞が集積し筋内腱を形成する為にはSox9の機能が不可欠である』という結論を得ている。 さらに来年度へ向けて、胎生期において時期特異的にSox9をノックアウトする為にWnt1CreER ; Sox9fl/+マウスの作出を行っている。継続実験中の内容は、筋内腱発生前の胎生13日と筋内腱発生後の胎生18日にてタモキシフェンを投与後、出生直後の新生児を安楽死させる。成獣にタモキシフェンを導入後1か月にて試料を採取することで、Sox9陽性の細胞が筋-腱接合部に存在していれば『Sox9陽性の筋幹細胞が腱細胞へ形質転換する。』ことの一端を明らかにできる。胎生13日投与群では筋内腱が低形成もしくは欠失し、胎生18日投与群では筋内腱が正常に発達していれば、筋内腱の形成に転写因子であるSox9の機能が不可欠であることが証明できる。 本申請研究により“筋内腱”の発生機序が明らかになれば、原因不明であるMyotendinous Junctionの強固な連結構造の形態形成過程の一端を解明できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Sox9ノックアウトマウスについて、その作出方法が確立し、今後解析段階へ移行できるためである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度同様、胎生期において時期特異的にSox9をノックアウトする為にWnt1CreER ; Sox9fl/+マウスの作出を行う。筋内腱発生前の胎生13日と筋内腱発生後の胎生18日にてタモキシフェンを投与後、出生直後の新生児を安楽死させる。胎生13日投与群では筋内腱が低形成もしくは欠失し、胎生18日投与群では筋内腱が正常に発達していれば、筋内腱の形成に転写因子であるSox9の機能が不可欠であることが証明できる。
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