研究課題
筋特異的制御因子であるGDF-8(Myostatin)が筋-腱接合部(myotendinous junction:MTJ)を制御している可能性が指摘されている。しかし、腱損傷時において、筋-腱接合部の機能的な構造維持にMyostatinが関与しているのかについては、不明な点が多い。そこで本研究では、腱損傷時の筋‐腱接合部の機能低下に着目し、同部の再生にMyostatinがどのように関与するかを明らかにするために検索を行った。筋-腱-骨複合体の観察のために、腓腹筋‐アキレス腱‐踵骨を関心領域としてマウスの腱損傷モデルを作成した。その後、条件検討の結果からControl群、損傷後1週、損傷後4週の各3ステージを設け、生理学的実験を行うことで機能回復までの経時的変化を検索した。また、リアルタイムPCR、免疫組織学的染色を行うことで、筋-腱-骨複合体における特異的なRNAの発現及び、タンパクの解析を行った。現状として免疫染色では染色の困難なMyostatinの関与確認のために、in situ hybridizationを行い結果の解析途中である。本研究結果より、筋-腱-骨複合体において腱損傷を起こすと損傷部のみならず、筋よりの近位側の腱にも何等かの影響を与えることが明らかになった。また、Myostatinは機能回復時の損傷部よりも近位の腱及び筋-腱接合部を含めた組織の維持に関与していることが示唆された。昨年度集積した、同部のSox9に関する研究成果に関しては、今年度はノックアウトマウスの予備実験に終始し、次年度遂行していく。今後は、同部に関するSox9およびMyostatinの関与について統合的に考察を行っていく。
2: おおむね順調に進展している
Sox9 ノックアウトマスの作出に関しては、今年度は予備実験を繰り返し行うことが出来次年度に結果を出せると考えている。本申請課題の目的を達成するために、もう一方の「GDF-8(Myostatin)が筋-腱接合部(myotendinous junction:MTJ)を制御している可能性」に関する研究が順調にデータ集積に至ったため、「おおむね順調に研究が推進している。」と判断した。
次年度は、「筋腱接合部の形態形成」にSox9およびMyostatinが関与する、という客観的事実をいくつかの研究手法を用いて証明し、統合的な考察を進めていく。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 23 ページ: 6
10.3390/ijms23063006
巻: 22 ページ: 12
10.3390/ijms22126365