研究課題/領域番号 |
20K09899
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
浜村 和紀 愛知学院大学, 歯学部, 准教授 (00422767)
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研究分担者 |
戸苅 彰史 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (80126325)
近藤 久貴 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (40469002)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | スフィンゴ糖脂質 / 骨芽細胞 |
研究実績の概要 |
スフィンゴ糖脂質GD1aやGb4(グロボシド)は、未熟な骨芽細胞では発現し、成熟な骨芽細胞では、その発現が低下することが判明した。このことは、これらの糖脂質が、未熟な骨芽細胞の増殖に関与し、成熟な骨芽細胞へ分化する過程で、これらの糖脂質の発現が低下することで、増殖が抑制され、その結果、分化の方向に進むことを示す可能性がある。そこで、このことを明らかにするため、これらの糖脂質の合成に必須であるグルコシルセラミド合成酵素(GCS)を阻害し、骨芽細胞の増殖能への影響を検討した。未熟なマウス骨芽細胞株であるMC3T3-E1細胞に、GCS阻害剤(Miglustat、D-PDMP、D-PPMP)を添加した結果、GD1aおよびGb4の発現の低下が認められた。また、これらの糖脂質の発現が低下した細胞では、増殖能の抑制が認められた。そこで、GCSの発現により制御を受ける遺伝子を同定するため、MC3T3-E1細胞を用いて、無添加群(コントロール)、Miglustat添加群、D-PDMP添加群、およびD-PPMP添加群の4群に分け、マイクロアレイによる網羅的解析を実施した。その結果、無添加群に対して、3種類の阻害剤すべてで、発現が低下する遺伝子として、9個(Fndc1、Acta2、Igfbp5、Cox6a2、Cth、Mymk、Angptl6、Mab21I2、Igsf10)、発現が上昇する遺伝子として、10個(Mtg2、Nr4a1、Mapre2、Ahcyl1、Exoc6b、Traf6、Anxa3、Egr1、Egr2、Egr3)検出された。よって、マイクロアレイ解析で検出された、これらの遺伝子は、スフィンゴ糖脂質の発現により制御され、骨芽細胞の増殖・分化に関与している可能性が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス骨芽細胞株MC3T3-E1細胞にグルコシルセラミド合成酵素阻害剤を添加することで、スフィンゴ糖脂質の発現が低下し、細胞増殖が抑制されることが明らかになった。また、マイクロアレイ解析により、スフィンゴ糖脂質の発現によって制御される候補遺伝子が同定され、これらの中には、骨芽細胞の増殖、分化に関与する遺伝子がある可能性が期待できる。よって、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
骨芽細胞に発現しているスフィンゴ糖脂質に制御される候補分子が同定された。そこで、今後は、このマイクロアレイ解析で検出された分子が、増殖・分化に関与しているのかをsiRNAなどの遺伝子改変により、明らかにしたいと考えている。また、骨芽細胞に発現している糖脂質の中で、どの糖脂質が、これらの分子を制御しているのかについても検討したいと考えている。
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