研究課題/領域番号 |
20K09908
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
片瀬 直樹 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (30566071)
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研究分担者 |
藤田 修一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (00181355)
西松 伸一郎 川崎医科大学, 医学部, 教授 (20222185)
山内 明 川崎医科大学, 医学部, 教授 (80372431)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 頭頸部扁平上皮癌 / 口腔扁平上皮癌 / DKK3 / 癌関連遺伝子 / 遺伝子機能解析 |
研究実績の概要 |
我々は、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)で特異的に高発現を示し、腫瘍細胞の悪性度を規定する分子としてDKK3を同定し、解析を行なっている。これまでに、DKK3でコードされる分泌型/非分泌型タンパクは細胞外および細胞内からAktをリン酸化して活性化し、腫瘍細胞の増殖・浸潤・遊走を有意に増大させることを明らかにしてきた。本研究では、DKK3がAktの活性化に必要な機能ドメインを同定し、これに対する阻害ペプチドを開発することを目的としている。前年度までに、DKK3の機能ドメインが2つのシステインリッチドメイン(CRD: CRD1とCRD2)内の特定のアミノ酸配列であることを明らかにした。 今年度は、このアミノ酸配列に特異的に結合する相補性ペプチドのアミノ酸配列を蛋白科学研究所のMIMETECプログラムを利用して20種類設計した。この得られた配列をもとに、Raptor X (http://raptorx.uchicago.edu/)でDKK3のタンパク質モデルと、ペプチドのモデルをde novoに作成し、ClusPro2 (https://cluspro.bu.edu/) でドッキングシミュレーションを行った。20種類の配列候補のうち、最も結合効率の高かったものと低かったものの配列を決定し、実際にGenscript社でペプチドを合成してHNSCC由来細胞株に投与した。 その結果、いずれにおいてもAktのリン酸化が有意に抑制され、同時に細胞の増殖・遊走が有意に抑制された。本結果はDKK3阻害ペプチドの抗腫瘍効果を示すものとして重要であり、特許を出願した(特願 2022-004012)。 また、近年DKKファミリーの受容体としてCKAP4が同定されたが、DKK3の機能解析および相補性ペプチドの効果予測の観点から、HNSCCにおけるCKAP4発現について解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標としていた、DKK3の機能ドメインを阻害する相補性ペプチドの配列決定と、in vitroの系での検証がほぼ完了しており、進捗状況は順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は動物実験でこのペプチドに腫瘍治療効果があるかどうかを評価する。動物実験の計画書は既に承認されており、速やかに実験が遂行可能な状態である。今後は得られたデータを追加して特許の審査請求を行う予定である。
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