現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)PorAとPorYとの関係:内部領域にHisタグを導入したPorA(PorA::His145)遺伝子を作製した。PorA::His145はPorA欠損株のT9SS欠失性を完全に回復させることがわかった。PorA::His145遺伝子をΔporA ΔporK株に導入した株からニッケルカラムにてPorA::His145タンパク質を精製し、そのタンパク質画分にPorYがあるかどうかを抗PorY抗体を用いたイムノブロットにて検討したところ、PorYの分子量に相当する位置に抗PorY抗体に反応するバンドを得た。さらにこの結果を確認するため、このタンパク質画分に含まれるタンパク質について定量的プロテオミクスにて解析したところ、PorA, PorY, PorW, PorV, PorD, Sovが検出された。PorAとPorYとの結合を強く示唆するとともにPorAとPorW, PorV, PorD, Sovとの結合が示唆された。 (2)プロ型PorAはシグナリング分子か:PorUプロテアーゼの認識領域を欠損したPorAを構築し、このPorU非認識PorA株でT9SSが正常に機能するかどうかを調べた。PorA-His145-Δ(T162 D163)はPorA欠損株のT9SS欠失性を完全に回復させたが、この株ではA-LPS結合型PorAは形成されないことがわかった。すなわち、プロ型PorAがシグナリング分子であることが示唆された。 (3)PorAの構造解析にて判明したリガンドとの想定結合部位の周辺の構造を変化させる変異を導入したPorA遺伝子を複数作製し、PorA欠損株のT9SS欠失性を回復しない変異遺伝子を探索したが、いまのところ、発見していない。PorAの機能にリガンドは必要ないかもしれない。 以上より更なる解析が必要であるが、全体的には予定通りに進んでいることからおおむね順調と判断した。
|