研究課題
歯周病細菌ポルフィロモナス・ジンジバリスは、9型分泌機構(T9SS)で、ジンジパインなどの多くの病原因子を細胞表面へ輸送する。T9SS構成タンパク質の発現は、PorXY二成分制御系と SigPシグマ因子の直列のシグナル伝達によって調節されている。今回、我々は T9SS分泌タンパク質特有のCTD領域をもつPGN_0123タンパク質(PorAと命名)がT9SS構造タンパク質遺伝子の発現調節に関与していることを発見した。X線結晶構造解析により、PorAのN末端領域は1型線毛の先端タンパク質である大腸菌FimHタンパク質のマンノース結合ドメインと類似した構造をもつことがわかった。ΔporA 変異株ではSigPの発現は著しく減少した。 ΔporA 変異株から表現型が野生型に復帰した株ではporY遺伝子(PorXY系のセンサーキナーゼの遺伝子)の細胞質ドメイン領域に突然変異が生じていることがわかった。Hisタグ含有PorAを発現する細菌細胞からのタンパク質のHisタグ精製や抗PorA抗体を用いた免疫沈降実験で、PorAとPorYとの結合が示唆された。T9SS分泌タンパク質の一つであるRgpBとPorAとのCTD領域のスワップ体であるPorA-CTD[RgpB]およびRgpB-CTD[PorA]のキメラ分子の遺伝子を作製し、ΔporA 変異株に導入して相補できるか否かを調べた結果、RgpB-CTD[PorA]は相補したが、PorA-CTD[RgpB]は相補しなかった。さらに、Kgpシグナル領域-Haloタグ-CTD[PorA]のキメラ分子の遺伝子もΔPorA欠損株を相補した。これらの結果からCTD[PorA]がPorAの機能領域であること、さらにPorA-PorY-PorX-SigP シグナル伝達経路の存在が強く示唆された。
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