研究課題/領域番号 |
20K09924
|
研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
松尾 拡 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (70238971)
|
研究分担者 |
古株 彰一郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (30448899)
矢田 直美 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (60468022)
永野 健一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (60834348)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 悪性黒色腫 / 味覚受容体 |
研究実績の概要 |
悪性黒色腫はメラノサイトから発生する悪性度が高い悪性腫瘍である.口腔粘膜に発生する悪性黒色腫は皮膚のものと比べて予後不良とされるが,発生頻度が低く顎骨への浸潤などは検討されていない.Gタンパク質共益型受容体の味覚受容体はTas1r1とTas1r3のヘテロダイマーでうま味受容体,Tas1r2とTas1r3のヘテロダイマーで甘味受容体として働く.近年この味覚受容体がさまざまな組織に発現し,アミノ酸代謝や糖代謝を通じて細胞の増殖・分化などを制御することが明らかになりつつあるが,悪性腫瘍などの病態生理における味覚受容体の役割は知られていない. 今年度はTas1r3に着目して研究を行なった.102名の悪性黒色腫患者の病理組織マイクロアレイ解析において,Tas1r3の発現量と生存率に相関関係を認めなかった(The human Protein Atlas; https:// www. proteinatlas.org).悪性黒色腫B16細胞を用いて実験を行なった.Tas1r3の過剰発現はグルコースの濃度依存的に細胞の増殖を有意に促進した.悪性黒色腫細胞ではTas1r2はほとんど発現していないことから,Tas1r3はホモダイマーでグルコースを受容し,細胞の増殖を制御している可能性がある.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度、着目する受容体をTas1r1からTas1r3へと変更し,ようやく意義のあるデータがとれはじめてきたが,当初予定していたより成果があがっていない.
|
今後の研究の推進方策 |
悪性黒色腫はPositron emission tomography (PET) 検査で検出しやすい検査だと言われている.これはすなわち,悪性黒色腫はグルコースの取り込みが活発である(ワールブルグ効果)可能性を示唆し,この現象にTas1r3が関与しているかもしれない.今後はこの機能解明を行なっていく.
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で学会出張にともなう支出が大幅に減少したこと.また予定通りに進まなかったことのあり,動物実験に使用する動物の飼育日が想定より少なかったことである.
|