研究課題/領域番号 |
20K09928
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
中山 亮子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (50749843)
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研究分担者 |
松本 直行 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (20386080)
井上 裕子 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (50367306)
斎藤 一郎 鶴見大学, 歯学部, 教授 (60147634)
山崎 智恵 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (80817122)
尾曲 大輔 鶴見大学, 歯学部, 助教 (10608699)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 自己免疫疾患 / シェーグレン 症候群 / 唾液 / 女性ホルモン / OVX / EBウイルス |
研究実績の概要 |
本研究課題はEBウイルス再活性化の指標となるレポーター遺伝子(Zp-Luc)を導入したトランスジェニックマウスを用いて早期卵巣摘出によるシェーグレン症候群(SS)病態モデルを作出し、女性ホルモン低下によるEBウイルスの再活性化を介したSSの病態成立機序の解明が目的である。 初年度はZp-Lucマウスに対し卵巣摘出(OVX)を施したSSモデルマウスで検討を行っており、8から13週齢の野生型のマウスを用いた予備検討を実施し、卵巣摘出群(OVX, n=4)は偽手術群(sham, n=2)と比較して術後4週で唾液分泌の減少傾向を認めた。マウスより顎下腺を摘出後、組織学的解析用にパラフィン切片を作製しHE染色を行ったが、形態学的にはOVX群とSham群の顎下腺組織に明らかな差異は認められなかった。生後4週のマウスにOVX処置をした場合3週後に顎下腺組織にアポトーシスを生じるとされるため、それぞれの組織をTUNEL染色して比較したが現時点ではOVX群にもSham群にも明らかなTUNEL陽性細胞は認められず、現在RT-PCRによるアポトーシスマーカーの検出や組織内ATPなどその他の比較手法を検討している。次に8週齢のZp-Lucマウスに対し同様に卵巣摘出(OVX, n=3)または偽手術(sham, n=3)処置を実施し、2週間毎に唾液分泌量の測定を行い、術後12週間でOVX群はSham群と比較して有意な唾液分泌の減少を認めた(p=0.047)。また、唾液の質的な変化を評価するために、採取した唾液の成分については唾液中総タンパク質量をBCA法、α-アミラーゼ活性をCNP基質による比色法により測定した。結果、有意な差ではなかったものの唾液中総タンパク質量α-アミラーゼ活性ともにSham群と比較してOVX群で減少傾向が認められた。唾液中総タンパク質量α-アミラーゼ活性も今後唾液分泌量の減少と同様有意な差となることが見込まれるため、経時的な観察を継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大による不安定な情勢で研究活動の開始が遅れたことや継続的な実験に支障があったことが遅延の主な要因であるが、実験に必要な頭数の雌性マウスの確保と、その唾液分泌量の経時的変化の追跡にも時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は試験に必要な頭数を確保するために交配のペアリング数を増やす予定である。 OVX処置を行う週齢と術後の時間経過でTUNEL陽性細胞が変化することを確認する。 有意な唾液分泌の減少が認られたZp-LucマウスのOVXとShamについては顎下腺組織の形態に変化の現れる30週まで観察を継続し、顎下腺を摘出したのちその組織ライセートを用いてルシフェラーゼアッセイを実施し、EBウイルス再活性化因子のプロモーター活性を検討する。さらに顎下腺組織のホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を作成し、HE染色により組織破壊の程度を検証するとともにリンパ球浸潤の程度のスコアリング解析やAQP5抗体による免疫染色でAQP5の腺房細胞内分布を解析する。また、自己抗体として、マウス由来 SSA/Ro および SSB/La リコンビナントタンパクを固相抗原とした ELISA により、OVX/Zp-Luc および sham/Zp-Luc の血清試料中より抗 SSA/Ro と SSB/La 抗体の検出を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
試験の開始と進行が遅れたため、次年度使用額が生じた。 次年度は顎下腺組織の解析のために使用するルシフェラーゼアッセイなどの各種アッセイ試薬およびAQP5抗体や蛍光標識二次抗体、自己抗体ELISA検出系の固相抗原としてマウス由来SSA/RoおよびSSB/Laリコンビナントタンパク購入の他、マウスの飼育(特殊飼料、床敷のほか、飼育施設の使用料金)の費用が必要となる。
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