研究実績の概要 |
本年度は、歯周病細菌P. gingivalisのPgAckの酵素反応を不活化する化合物のスクリーニングをおこなった。 PgAckによるATP産生をヘイケボタル由来のルシフェラーゼを用いて高感度に検出するために、96穴マイクロプレートを用いて確立した実験系を用いた。本実験系において、ネガティブコントロールと比較して、ATPの存在は好感度に検出された。 大阪大学大学院薬学研究科創薬サイエンス研究支援拠点の協力で、同施設と契約関係にある製薬企業が提供した約65,000種類の化合物ライブラリーから、PgAckの阻害化合物の探索を行ったところ、本来の活性が90%以上阻害されたものが134個、80~90%阻害されたものが94個同定された。これらについて、実験系に含まれるルシフェラーゼに対する阻害効果を検討したところ、212個がルシフェラーゼ活性を阻害することが明らかとなり、それらを除外して、22の候補化合物が選出された。その後、それらの化合物について、4種類の濃度を変えて濃度依存的に酵素阻害効果があるかどうかを検討したところ、9つの化合物において、有望な結果が得られた。さらに、それらの化合物の歯周病細菌Porphyromonas gingivalisと口腔レンサ球菌Streptococcus sanguinisに対する成育抑制効果を検討したところ、歯周病細菌にのみ特異的な化合物1種類見いだされ、本研究の目的に叶う候補化合物として有望と思われた。
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