研究課題/領域番号 |
20K09931
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
長谷川 義明 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (70460524)
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研究分担者 |
内記 良一 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (10434622)
三谷 章雄 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (50329611)
永野 恵司 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (60367620)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Porphyromonas gingivalis / 線毛 / Mfa1 / Mfa5 |
研究実績の概要 |
歯周病原細菌Porphyromonas gingivalisはMfa1~Mfa5タンパク質からなるMfa1線毛を持つ。我々はこれらの5つの因子がmfaクラスターより発現すること、mfa1にはmfa170及びmfa153という2つの遺伝子型が存在することを明らかにしてきた。さらに、本研究室が保有するP. gingivalisストック84株の中で、Mfa170及びMfa153を発現していない可能性のある12株を同定した。それらのうちの4株のゲノムを解読し、標準株のmfaクラスターの配列と比較したところ、mfa1の配列が異なる株やmfa1-mfa4を持たず線毛の先端因子mfa5に相当するvon Willebrand factor A containing protein(VWA)を単独に持つ株やmfa1-mfa4の下流にVWAをタンデムに持つ株等が見つかった。そこで本研究では、菌株間において多様性に富むmfa領域の遺伝子型解析を進めると同時に、Mfa5(VWA)の機能解析を行うことを目的とした。 令和2年度は、mfa1遺伝子型が不明である12株についてゲノムを解読し標準株との比較解析を行った。その結果、mfa170には、2つの遺伝子型(mfa170Aおよびmfa170B)が認められることが分かった。さらに、VWAには5つの遺伝子型が存在することが分かった。Mfa170AおよびMfa170Bの抗原性の違いについて抗Mfa170A抗体を使用したウェスタンブロットにより解析したところ、これら2つのMfa1タンパク質の間では抗原性が異なる可能性が示された。 今後はVWAの変異株および抗VWA抗体の作製を試み、VWAの機能や局在の解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
mfa1型の不明なP. gingivalisの12株のドラフトゲノムを構築することに成功し、さらに既知株との比較により新しいmfa1型を見出すことができた。以上の結果からゲノム解析については順調に進んでいると言える。しかし、VWA変異株および特異抗体の作製がやや遅れているが、研究全般については、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は令和2年度に予定していた変異株および特異抗体の作製を進めるとともに、新たな実験についても実験系の確立を目指す。また、計画以上に進んでいる点については、今後も実験を継続して研究成果を得るとともに、新たな展開について模索する。特に、VWAタンパク質の機能解析を進める事により、Mfa1線毛の役割が明らかにできるように努力したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として、変異株作製後の解析に用いる試薬の購入が遅れたことが挙げられる。また、学会発表をするための旅費が発生しなかったことが挙げられる。 (使用計画) これらの金額と次年度以降に請求する研究費を合わせた使用計画としては、物品費、旅費、英文校正費等を含むその他の経費を増やすことなどを計画している。
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