研究課題/領域番号 |
20K09932
|
研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
小越 菜保子 大阪医科大学, 医学部, 助教 (60509115)
|
研究分担者 |
植野 高章 大阪医科大学, 医学部, 教授 (60252996)
大森 実知 大阪医科大学, 医学部, 助教 (60803137)
寺井 陽彦 大阪医科大学, 医学部, 教授 (70207471)
大山 秀樹 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (90280685)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 化学療法 / 口腔粘膜炎 / 口腔細菌叢 |
研究実績の概要 |
化学療法による口腔粘膜炎の発症,増悪には細菌学的要因と宿主の免疫応答性が強く関わることが示唆されているがその詳細は明らかでない。本研究は造血器腫瘍患者の化学療法に伴う口腔環境の変化において,口腔粘膜の恒常性の維持に重要な口腔細菌叢さらに免疫グロブリンA (IgA) 抗体応答性に着目し,口腔粘膜炎の病態との関連を明らかにすることを目的とした。造血器腫瘍とそれ対する化学療法による免疫応答性の変化は,口腔細菌叢の構成比や構成菌種に影響する可能性がある。本年度は,口腔サンプルの採取に着手した。対象は,造血器腫瘍のうち,リンパ腫,白血病,骨髄腫の化学療法開始前に周術期口腔管理を目的に歯科口腔外科に紹介された患者のうち,全身疾患のない初めて化学療法を受ける患者とした。研究倫理委員会承認のもと,十分な説明を行った上で口腔サンプルを採取し,口腔および全身状態の情報をカルテから得た。サンプル採取は,我々が以前に報告した含嗽法で行い,化学療法開始前と,開始後の2回行った。口腔サンプルから細菌DNAを抽出,16S rRNA遺伝子V1-V2領域をPCR増幅後,次世代シーケンサー(Miseq:イルミナ社製)にて解析した。シーケンスデータを用いて,化学療法開始前と開始後の細菌叢を比較解析した。その結果,化学療法開始前後で細菌叢が有意に異なること,その特徴が明らかになった。今後,さらにサンプル数を増やし,採取したサンプルを用いてIgA抗体の応答性を評価し,口腔粘膜炎との関連について解析を進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により,口腔内サンプルの採取が予定よりも進んでいない。また,口腔サンプル中のIgA抗体が細菌叢に及ぼす影響についての解析方法の確立に時間を要している。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き口腔内サンプルの採取を継続し,サンプル数を増やす。 また,口腔サンプル中のIgA抗体を評価するための解析方法を確立する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,患者からの口腔サンプル採取に遅れが生じていることが,主な理由である。引き続き口腔内サンプルの採取を継続しシーケンス解析を行う。さらに口腔サンプル中のIgA抗体を評価するための解析方法を確立するため,それらの費用に研究費を使用する予定である。
|