| 研究課題/領域番号 |
20K09937
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| 研究機関 | 大阪大学 |
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研究代表者 |
北川 晴朗 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (50736246)
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| 研究分担者 |
佐々木 淳一 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (50530490)
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| 研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 歯科材料 / バイオセラミックス / 感染制御 / 硬組織誘導 / ドラッグデリバリー |
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| 研究実績の概要 |
本年度は、まず、抗菌効果を発現できるガラスとして、亜鉛含有ガラス粒子を試作し、Streptococcus mutans、Fusobacterium nucleatum、Actinomyces naeslundiiの3種の口腔細菌に対する抗菌性を評価した。40 mgの亜鉛含有ガラス粒子を300μLの各菌液に浸漬し、S. mutansは24時間、F. nucleatumおよびA. naeslundiiは48時間培養後、コロニーカウント法により各菌液の生菌数を定量した。その結果、ガラス非存在下の各菌液のみやハイドロキシアパタイト顆粒存在下のコントロールと比べて、亜鉛含有ガラス粒子存在下で培養した後の生菌数は、3種いずれの細菌においても有意に減少した。
つづいて、硬組織誘導能を発現するガラスとして、ストロンチウム含有ガラス粒子およびリチウム含有ガラス粒子を試作し、ストロンチウム含有ガラス粒子が骨芽細胞様細胞の増殖に与える影響を検討した。ストロンチウム含有ガラス粒子50 mgを10 mLのα-MEM培地に24時間浸漬し、採取したイオン溶出液存在下でMC3T3-E1細胞を24時間培養後、MTTアッセイにより細胞増殖を評価した。その結果、イオン溶出液非存在下のコントロールと比べて、ストロンチウム含有ガラス粒子からのイオン溶出液存在下では、MC3T3-E1細胞の増殖が抑制されることが分かった。この結果は、試作したガラスの溶解性が高く、採取したイオン溶出液にガラスを構成する元素が高濃度に含まれていたためと考えられたため、溶解性を低下させる元素を添加したストロンチウム含有ガラス粒子を新たに試作した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度の研究実施計画に則り、抗菌効果および硬組織誘導能を発現するガラス粒子を試作し、各種口腔細菌に対する抗菌性および骨芽細胞様細胞の増殖に与える影響を検討した。前述のように、亜鉛含有ガラスの抗菌効果については、当初想定していた通りの結果が得られたが、ストロンチウム含有ガラスについては、イオン溶出液存在下で骨芽細胞様細胞を培養すると、その増殖が抑制されることが判明した。次年度は、溶解性を低下させる元素を添加したストロンチウム含有ガラス粒子の溶解性、および骨芽細胞様細胞の増殖に与える影響を再度検討する予定である。
以上のことから本研究の進捗は、おおむね順調に進展していると判断できる。
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| 今後の研究の推進方策 |
令和2年度に得られた結果に基づいて、リチウム含有ガラスと新たに試作したストロンチウム含有ガラス粒子の溶解性および骨芽細胞様細胞の増殖に与える影響を検討する。また、亜鉛含有ガラス粒子のEnterococcus faecalisに対する抗菌性を評価する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
前述のように、ストロンチウム含有ガラス粒子の試作に時間を要し、当初計画していた亜鉛含有ガラスのEnterococcus faecalisに対する抗菌性評価、およびリチウム含有ガラスの骨芽細胞様細胞の増殖に与える影響に関する試験を実施していない。したがって、それに係る試薬、消耗品は購入しておらず、次年度使用額が生じた。
次年度に、それらの培地や試薬を購入し、また、これらの研究遂行に係る消耗品は、上記の研究計画に則り必要性を吟味し効果的に使用する。
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