研究課題/領域番号 |
20K09940
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
北川 雅恵 広島大学, 医系科学研究科(歯), 専門研究員 (10403627)
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研究分担者 |
栗原 英見 広島大学, 医系科学研究科(歯), 名誉教授 (40161765)
宮内 睦美 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (50169265)
長嶺 憲太郎 広島国際大学, 健康科学部, 教授 (80412352)
應原 一久 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (80550425)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | Streprococcus mutans / cnm遺伝子 / Porphyromonas gingivalis / fimA / LAMP法 |
研究実績の概要 |
今年度は、昨年度確立したチューブタイプによるMitis Salivalius Bacitracin (MSB) 培地の培養法を用い、対象者の唾液検体からLAMP法によってcnm遺伝子陽性Streprococcus mutans (S. mutans) を迅速検出した。対象者のcnm遺伝子陽性S. mutansの保菌状況および病歴との関連を解析し、これまでに報告されている脳血管疾患等との相関関係が我々が確立したチューブタイプMSB培地培養にLAMP法を組み合わせた方法でもみられるかを検討した。 また、唾液だけでなく、血液を用いたcnm遺伝子陽性S. mutans検出が可能かを検討するため、cnm遺伝子陽性S. mutansをマウスに歯から感染させ菌血症を起こさせた動物モデルから血液を採取し、抗体価を昨年度はS. mutansすべてに反応してしまったため、今年度はcnm特異的に反応させるために抗原をcnmペプチドに替えてELISA法を行った。一方、血液中のcnm遺伝子陽性S. mutansの検出を行うため、チューブタイプMSB培地培養にLAMP法を組み合わせた方法で試みた。 さらに、う蝕原因菌のS. mutansだけでなく、近年、歯周病原細菌のうち歯周病や全身疾患との関連が示唆されているPorphyromonas gingivalis(P. gingivalis)線毛(fimA) type IIとtype IV遺伝子についても迅速検出できるようにするため、デンタルプラークからP. gingivalisのfimA type IIとtype IV遺伝子をLAMP法で迅速検出する方法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全身的疾患の既往に乏しい20歳代 300名を対象に、研究内容説明後同意取得し、唾液採取を行い、cnm遺伝子陽性S. mutansの有無を調べたところcnm遺伝子陽性S. mutans保菌率を調べた。一方、当院歯科受診者100名を対象に研究内容説明後同意取得し、既往歴および家族歴を聴取し、唾液採取を行ったところcnm遺伝子陽性S. mutans保菌率を調べた。また、脳血管疾患(脳出血、脳梗塞等)の既往あるいは2親等以内に家族歴のある人では、cnm遺伝子陽性との関連が認められた。 cnm遺伝子S. mutans特異的な ELISA法による検出については、ペプチドを再合成して再度検討を行なったが、方法確立が難しいと判断し、血液による検査方法として血中のcnm遺伝子陽性S. mutansについて、血液および唾液と同様に血液培養を行いLAMP法にて検出を行なったが、いずれも検出できなかった。 P. gingivalis fimA type IIおよび type IV遺伝子はcnm遺伝子と同様にLAMP法を用いることで、デンタルプラークから感度および特異度ともに良好な検出方法を確立できた。 P. gingivalis fimA type IIおよび type IVの検出方法については、J Microbiol Methods. 185:106228, 2021.に掲載された。Kitagawa M. et al., “Selective and easy detection of the Porphyromonas gingivalis fimA type II and IV genes by loop-mediated isothermal amplification.”
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今後の研究の推進方策 |
Cnm、fimA type遺伝子の迅速検出法が確立したことから、両遺伝子について患者検体を用いて疾患との関連性をさらに検体数を増やして解析を行う。また、新たな口腔内細菌の迅速検出および臨床データとの相関解析に取り組む。
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