研究課題/領域番号 |
20K09941
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
廣島 佑香 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 講師 (60545143)
|
研究分担者 |
木戸 淳一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (10195315)
村上 圭史 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (10335804) [辞退]
藤猪 英樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (50356250) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 歯周病原細菌 / 歯周病 / 抗菌ペプチド |
研究実績の概要 |
抗菌ペプチドは幅広い抗菌作用を持ち、宿主に対して毒性が低く、耐性菌を生じにくいなどの特徴がある。口腔内にも多数発現し、感染防御において重要な役割を果たしている。抗菌ペプチドを用いたオーラルケアは低侵襲な方法であり、有用で安全なシステムの構築が期待できると考える。令和2年度に大腸菌を使用しない無細胞蛋白質合成系により抗菌ペプチドLipocalin 2 (LCN2)を合成、リポソーム中に封入し、口腔上皮細胞と培養することにより抗菌ペプチドの口腔上皮細胞への送達について検討を行った。しかしながら抗菌ペプチドの合成量が低いことが課題であった。令和3年度は無細胞蛋白合成系におけるLCN2合成量の改良と、合成したLCN2がPorphyromonas gingivalis (Pg)のヒト口腔上皮細胞への付着を抑制するかを検討した。 今回、アミノ酸配列は変更せず、LCN2遺伝子配列がAT richになるようなコドンを選択して鋳型DNAを再設計した。無細胞蛋白合成キットを用いて鋳型DNAからLCN2を合成し、Western blottingとELISAにより合成量を分析した。合成したLCN2はオリジナルの配列で合成したLCN2と比較して約500倍の合成量になった。また、Pg ATCC33277株を培養し、Pg菌体を蛍光色素でラベルした。 LCN2で12時間処理したヒト口腔上皮細胞(TR146)系にラベルしたPg菌を添加し、2時間後に洗浄、プレートリーダーにて付着したPg菌の蛍光強度を測定した。その結果、合成LCN2はリコンビナントLCN2と同様にTR146細胞へのPg菌の付着を抑制した。合成された抗菌ペプチドは、感染予防効果を有し、新たなオーラルケア法の開発に繋がる可能性がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Drug delivery systemキャリアのバイオナノカプセル(BNC)は薬剤および遺伝子の生体内ピンポイント投与システムの最先端技術である。本研究では、抗菌ペプチドをリポソームに封入し、さらにBNC化させ、歯周局所に投与することにより、歯周病原細菌の量を抑制させる技術基盤の構築を目的としている。しかしながら抗菌ペプチドには膜透過性が高いものや、膜破壊により抗菌性を示すものが多く、現在はLCN2のみの検討となっている。また、目的の抗菌ペプチドの細菌への直接的な抗菌性を示すことができるのか、細菌のどの部分を標的とするのかなど、BCN化の前に検討事項が多く、進行は遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、BNCに内包するリポソームに含有した抗菌ぺプチドの抗菌性や歯肉上皮細胞への影響を検討する。また歯周病原細菌の特異抗体を検討し、BNCに標識させ、細菌との結合能を検討する。最終的には、抗菌ペプチドなどを封入したBNCが歯周組織および歯周病原細菌に及ぼす影響について解析を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)予定していた抗菌ペプチドのBNC化にあたり検討事項が多く、研究遂行に遅れが生じているため、次年度に実施することとなり、次年度使用額が生じた。 (使用計画)次年度は、BNC化に要する試薬類を多く必要になると予想されるため、次年度研究費(物品費)と合わせて使用する計画である。
|