研究課題/領域番号 |
20K09956
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
土屋 志津 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (60610053)
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研究分担者 |
柴 秀樹 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (60260668)
自見 英治郎 九州大学, 歯学研究院, 教授 (40276598)
鈴木 茂樹 東北大学, 大学病院, 講師 (30549762)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | エストロゲン / 硬組織形成 / 抗炎症 |
研究実績の概要 |
女性ホルモンであるエストロゲンは様々な疾患の発症・進展の抑制に寄与する。エストロゲンは骨のリモデリングにも関与し、更年期以降のエストロゲン欠乏が骨粗鬆症の原因となることが知られている。これまでに申請者らは、「炎症制御による硬組織再生誘導」という視点から、骨芽細胞や象牙芽細胞様細胞において、グルココルチコイド受容体の共役因子Macromolecular Translocation Inhibitor-II(MTI-II)が高い抗炎症および硬組織誘導能を持つことを報告した。エストロゲン受容体とグルココルチコイド受容体は高い相同性を有するため本研究では、MTI-IIの持つ抗炎症能・硬組織形成能と、エストロゲン作用増強能を利用した硬組織再生法を開発することを目的としている。 今年度はまず、ヒト歯髄細胞へのエストロゲンの影響を調べた。広島大学 疫学研究倫理審査委員会で承認後、研究への同意が得られた患者の抜去歯から歯髄細胞を樹立し、エストロゲンレセプター(ERa, ERb)の発現が見られるかをRT-PCR法で調べたところ、どちらの発現も確認できた。次にエストロゲン(17β-Estradiol: E2)を刺激してERaとERbの発現を確認したが、どちらもE2刺激による発現上昇は見られなかった。次に樹立した歯髄細胞の性差による硬組織形成能を比較するため、骨形成因子Bone Morphogenetic Protein-4 (BMP4) 刺激によるALP活性と遺伝子の発現変化を調べたところ、ALP活性に有意な差は認められなかった。どちらの細胞からも、BMP Response geneであるId1の遺伝子発現の上昇が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度はヒト歯髄細胞におけるエストロゲンシグナルの機能を解明するために、 10数本の抜去歯から歯髄細胞を樹立するのに長い期間を要したため、ヒト歯髄細胞におけるBMP4やE2などの刺激下でのMTI-IIの機能解析まで至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ヒト歯髄細胞におけるMTI-IIとエストロゲンシグナルの機能解明を行う。まずMTI-IIによるエストロゲンシグナル増強経路の解析として、MTI-II発現ベクター導入下でヒト歯髄細胞をE2で刺激し、エストロゲン受容体によって活性化されるEstrogen response element(ERE)依存性およびERE非依存性経路のMTI-IIによる増強効果を、各特異的ルシフェラーゼ系を用いて解析する。次にMTI-IIによる動的クロマチン制御機構の解明を目的として、ヒト歯髄細胞を炎症性サイトカインであるTNFa、BMP4、またはE2単独およびそれぞれを組み合わせて刺激し、抗MTI-II抗体と抗修飾ヒストン抗体を用いたChIP-seq解析を行う。各刺激下でのMTI-IIの標的クロマチン領域の探索・同定を行い、MTI-IIが転写共役因子として担うエピジェネティクスな分子基盤を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほとんど計画通りの金額を使用したが、数万円の次年度使用額が生じた。理由としては、ヒト歯髄細胞の樹立がやや計画通りに進まなかったことが挙げられる。現在は条件が整ったため、今年度使用できなかった予算分を使用する。
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