研究課題/領域番号 |
20K09957
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
板東 美香 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10510000)
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研究分担者 |
木戸 淳一 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (10195315)
稲垣 裕司 徳島大学, 病院, 講師 (50380019)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 糖尿病関連歯周炎 / オーラルフレイル / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
本研究は高齢者糖尿病関連歯周炎患者に対するオーラルフレイルの新規リスクバイオマーカーを探索すること、さらに、糖尿病合併症の原因の1つである最終糖化産物(AGEs)による歯周組織局所における炎症像悪化の機序を詳細に調べるとともに、その抑制法をin vitroで探索することを目的とし、糖尿病関連歯周炎患者に対するフレイル予防につながる臨床研究と基礎研究を行う。 本年度は、徳島大学歯科に来科された65歳以上の糖尿病関連歯周炎患者10名、非糖尿病歯周炎患者5名、共同研究機関の枡富歯科医院に来科された65歳以上の糖尿病関連歯周炎患者16名、非糖尿病歯周炎患者32名の同意が得られた。オーラルフレイルの診査を行った結果、口腔機能低下症と診断された患者は糖尿病患者で10名/26名(38.4%)、非糖尿病患者で21名/49名(42.9%)であった。オーラルフレイル診査の7項目の内4項目以上該当する患者は前者が5名/26名(19%)、後者8名/49名(16.3%)であった。さらに、外部委託の唾液中の歯周病細菌が基準値以上であった患者は前者0名/26名(0%)、後者7名/49名(14.3%)であった。今後糖尿病患者数を増やし、歯周炎のグループステージを分けて統計解析を行う。唾液・歯肉溝滲出液が集まったら、ELISAにてカルプロテクチンや酸化ストレスマーカーなどのバイオマーカーを測定し相関関係を統計解析していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVIT-19の影響もあり、大学内での症例数が予定よりも少なかった。症例を増やすため、8月に共同研究機関として枡富歯科医院を倫理委員会に申請を行った。環境が整うまでに時間がかかり、今年に入ってからの研究参加となった。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究に関しては、グループ分けを行い、足りないグループを中心に症例を募り進めていく。糖尿病患者のグループがどうしても少ない傾向にあるが、現在研究代表者は、代謝栄養学分野の糖尿病患者を対象とした味覚検査の研究に協力しており、本院の内分泌・代謝内科に受診された糖尿病患者の口腔内診査・歯周組織検査を行っている。研究対象の患者で、歯科での治療が必要であれば、医科から歯科へ紹介いただき治療を行っていく予定であるが、本研究の説明を充分に行い、同意していただける場合は、同意書を取得した上で、本研究にも参加していただく。また、バイオマーカーの測定にはELISAプレートをできるだけ統一させた同じ条件下でないと結果にばらつきが出るため、ある程度集まった段階でELISA解析は行う。その間バイオマーカーのデータが得られないため、外部委託により得られた臨床検査値と臨床データとの相関関係解析を行い、できる限りデータ集計時間のロスがないようにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は購入を予定していたオーラルフレイル測定機器の細菌カウンタと咬合測定器が、販売停止中で購入しなかったため、前年度未使用額が約100万円繰り越しされた。本年度は症例数が大幅に増え、1症例あたり検査費等で約2万の費用がかかるため、前年度から大幅に研究費を使用した。しかしながら、1人あたり約1万円ほどのバイオマーカー(8-OHdG)を外部委託し測定する費用が、全症例未実施となっているため、次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した研究費と合わせて、未実施分の外部委託と新たな患者の検査費やバイオマーカー測定用のELISAキット購入費用に使用する予定である。
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