研究課題/領域番号 |
20K09958
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
讃井 彰一 九州大学, 大学病院, 講師 (70507780)
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研究分担者 |
福田 隆男 九州大学, 大学病院, 講師 (80507781)
武富 孝治 久留米大学, 医学部, 講師 (10553290)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アメロジェニン / テプレノン / GRP78 |
研究実績の概要 |
本研究はアメロジェニン・GRP78複合体が免疫応答や創傷治癒等に与える影響、およびそこに至るまでの分子メカニズムを解明するため、複合体の構造解析により複合体の核内移行の機序や生理的機能を解明することと、またGRP78を誘導するテプレノンにより、人為的にこの複合体の活性増強が可能かを検証することを目的としている。これらの結果をもって、テプレノンとアメロジェニンの複合投与による新しい歯周組織再生療法を開発すると共に、歯髄の再生に応用可能か否かについて研究の展開を図る。 現在までの研究成果は以下の通りである。 ヒトマクロファージ株分化THP-1細胞を使用してアメロジェニン刺激による主要組織適合遺伝子複合体クラスII(MHC II)発現をフローサイトメトリー法、リアルタイムPCR法で解析した結果、アメロジェニンはIFNγ刺激によるMHC IIの遺伝子発現および細胞表面発現を抑制した。同様の効果は、種を超えてマウスマクロファージ株RAW264.7細胞でも確認された。次に、アメロジェニンの細胞内への取り込みを観察するため、アメロジェニンを蛍光標識した後に蛍光免疫染色を行った。アメロジェニンは刺激2分で細胞質に取り込まれ、5分で核内へ移行、15分で最も核内に蓄積した。また、アメロジェニンは、IFNγが受容体と結合した直後のJak/STAT経路やIFN制御因子であるIRF-1の活性化には影響を与えなかったが、MHC II発現に必須の転写活性化因子であるMHCⅡトランス活性化因子 (CⅡTA) のタンパク発現のみを抑制した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
培養細胞の細胞機能解析においてアメロジェニンの標的の詳細が判明しつつあるが、動物実験と構造解析の成果は遅れているため、上記区分とした。
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今後の研究の推進方策 |
アメロジェニンによるCIITA発現抑制が判明したため、今後はヒストン修飾に注目し、転写活性を促進するH3のユークロマチン化と抑制するヘテロクロマチン化をクロマチン免疫沈降法にて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
【理由】本年度は培養細胞実験が中心で、経費のかかる動物実験がやや遅れている。動物実験の研究を次年度中心に行なうため、これを次年度に繰り越した。 【使用計画】歯周組織再生の評価を検討するため、ラットの歯槽骨に人工的骨欠損を作製する、または結紮糸により歯周炎誘導性骨吸収を惹起させ、その部位にテプレノンおよびアメロジェニンを投与後、飼育を行なう。経時的な炎症の抑制や血管新生の度合い、および歯根膜遊走による歯周組織再生の程度を免疫組織化学的に解析し、同時に副作用による異常所見や周囲組織の癌化の有無等を経時的に観察する。併せてマウス歯周炎モデルに対する効果も検討する。
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