研究課題/領域番号 |
20K09959
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
長谷川 梢 (中村梢) 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00404492)
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研究分担者 |
橋口 千琴 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (10596860)
中村 利明 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (60381183)
野口 和行 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (90218298)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歯周病 / 妊娠性糖尿病 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、妊娠性糖尿病の発症・悪化に関わる口腔内原因因子の検索とそのメカニズムの解明である。そのための方法として「妊婦を対象とした口腔内検査と臨床サンプルを用いたさらなる口腔内原因因子の探索」を行うだけでなく、「口腔環境が妊娠性糖尿病の発症・悪化に関与するメカニズムの解明」のために、胎盤由来の細胞を用いたin vitro 研究とマウスを用いたin vivo 研究を行うこととしている。 本年は、1.妊婦と対象とした口腔内検査と臨床サンプルの採取、2,口腔内原因因子が妊娠性糖尿病のインスリン抵抗性に関与するメカニズムのin vitro解析をおこなった。現在、正常妊婦5名と妊娠性糖尿病妊婦5名の口腔内検査と臨床サンプルの採取を実施した。目標の各20名となったら、統計分析を行う予定である。胎盤由来細胞であるBeWo細胞の実験を用いた実験を行った。グルコース添加/無添加培地で培養したBeWo細胞に歯周病原細菌であるFnのLPSにて刺激を行ったのちにインスリンにて刺激を行った。培養益虫の、炎症性物質(IL-6,IL-8,TNF-a,IL-1b)の遺伝子発現をreal timePCR法似て解析を行った。また、インスリンレセプターであるIRSとそのリン酸化、AKTとそのリン酸化をウエスタンブロット法にて解析した。その結果、FnLPS刺激により上昇為たIL-6とIL-8の遺伝子発現はグルコースの添加によりその傾向が強くなることが明らかになった。また、FnLPS刺激後インスリンを添加すると引き起こされるIRSとAKTのリン酸化は、FnLPSの刺激濃度依存的に減少した。このことにより、FnLPSにより胎盤においてインスリン抵抗性が引き起こされる事が示され、歯周病が妊娠性糖尿病に関連する可能性を示唆できた。同様の実験を、今後はヒト胎盤から分離培養した、primary 細胞で行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
in vitro実験については、順調に進んでいる。妊婦の口腔腔内検査とサンプルの採取は、他の医療機関の妊婦を紹介頂いている。そのため、新型コロナウィルスの感染拡大防止のために、紹介が一時ストップするなどし、その影響で遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの感染拡大の影響が、昨年ほどではないと考えられるため、今後も対象妊婦の集積を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
妊婦の口腔内検査とサンプルの採取は、他の医療機関から紹介頂いていたが、新型コロナウィルスの感染拡大防止のために、紹介がストップしたためサンプル採取ができず、サンプルの分析や解析が進まなかった。そのため、当該年度の使用額が少なくなった。次年度は、順調に患者さんが紹介されると考えられるため、未使用額については次年度のサンプルの分析に使用する計画としている。
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