研究課題
歯肉溝滲出液 (GCF) 成分、特に出血の証拠となるヘモグロビン(Hb)検査の有用性を、既存の歯周組織検査と比較し、その挙動を詳細に検索した。その結果、一般臨床の現場で行う歯周組織検査において、安定した状態を示す、bleeding on probing (BOP) 検査が陰性 (-) 結果にも拘らず、GCF 成分に観察される Hb 量が、有意に高い場合、歯周組織損傷マーカーが有意に高い状況を示し、組織損傷の兆候を明確にした。同時にこの結果は、歯周病発症前診断の可能性を強く示す結果となった (doi: 10.1007/s00784-020-03396-0)。すなわち、この報告では GCF 成分解析における Hb 検査の有用性を強く示す結果となり、健常な状況において探知できる発症前診断の特異的マーカーの確立が示唆された。しかし、この結果は断面的評価であり、経時的追跡調査による立証が必要となる。そこで、supportive periodontal therapy (SPT) 期における追跡調査を行い、GCF 成分解析における Hb 検査の有用性の検討を行った。その結果、Hb 検査は極めて強く各歯周組織検査と相関を示し、歯周組織検査を強く補完するマーカーであることが判明した。すなわち、精度の高い歯周組織検査と詳細な治療計画の実現に加えて、Hb 探知から微弱な組織損傷の存在が明確となり、歯周病の発症前診断への可能性を強く示唆する結果となった(doi: 10.1111/odi.14536)。以上の概要から、本研究期間で、発症前診断としての GCF 成分解析における Hb 検査の有用性が明らかとなった。
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Oral diseases
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10.1111/odi.14536
口腔衛生会誌
巻: 72 ページ: 185-189
巻: 72 ページ: 272-278