研究課題/領域番号 |
20K09967
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
阿南 壽 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 病院顧問 (80158732)
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研究分担者 |
松崎 英津子 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (20432924)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | PSリポソーム / 生体活性ガラス / M2マクロファージ / 多核巨細胞 / リモデリング / 骨形成 / 骨再生療法 |
研究実績の概要 |
本年は培養系を用いて、PS リポソーム(PSL)のマクロファージに及ぼす抗炎症性作用およびマクロファージ M2 タイプへの変換機構について検討した。実験には、倒立顕微鏡(オリンパス(株)・CKX53)を用いた。ヒト単球系 U937 細胞を通法に従いPMA (100 nM)でマクロファージに分化させ、E.coli 由来 LPS (100 ng/ml)またはIL-4 (20 ng/ml)+IL-13 (20 ng/ml) にてM1/M2マクロファージへ分極させた。PS L(100μM)添加によるマクロファージのサイトカインの発現変動について検討した。 解析方法として、TNF-α、IL-6、IL-10 の発現について、ELISA 法を用いて解析した。その結果、PSL(100μM)をLPS刺激下でM1マクロファージに適用すると培養上清中の炎症性メディエーターであるTNF-αおよびIL-6の産生は著明に抑制された。一方、IL-4およびIL-13刺激下でM2マクロファージに適用したが、抗炎症性メディエーターであるIL-10産生は若干の増加にとどまった。実施した実験条件(既発表の論文を参考とした)では、M2マクロファージへの分極が十分でない可能性も考えられ、更なる検討を実施しているが、PSLはM1マクロファージに対する抗炎症効果が強力であり、その結果、骨欠損部におけるM1/M2マクロファージの分極バランスを早期にM2マクロファージ優位に調節する可能性が推測された。以上のことより、PSLはマクロファージ系細胞を介して骨欠損部におけるBAGの骨修復能を促進することにより、骨組織のリモデリングを促進する可能性が示唆された。
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