研究課題/領域番号 |
20K09975
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
岩田 倫幸 広島大学, 病院(歯), 助教 (30418793)
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研究分担者 |
水野 智仁 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (60325181)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 歯周組織再生 / 間葉系幹細胞 / ヒストン脱アセチル化酵素 / エクソソーム / 歯周靭帯細胞 / 歯肉線維芽細胞 / microRNA |
研究実績の概要 |
歯周組織再生治療法の1つであるMSC移植において、MSCは移植局所に存在する歯周組織構成細胞との直接接触またはエクソソームなどの分泌因子を介した間接接触によって、細胞分化を含めた細胞機能の制御を受ける。さらに、MSCがエクソソームを分泌することにより周囲の歯周組織構成細胞と協調しながら歯周組織再生に至ると考えられる。しかし、歯周組織構成細胞が分泌する因子に関しては、構成要素および移植局所でのMSC細胞機能へ及ぼす影響について未だ不明な点が多い。 本研究では、歯周組織構成細胞から分泌されるエクソソーム(歯周組織エクソソーム)を含む液性因子が移植されたMSCの移植局所における細胞機能制御に対して重要な役割を果たすことを明らかにするとともに、歯周組織エクソソームおよびMSCから分泌されるエクソソーム(MSCエクソソーム)を応用することによって、歯周組織構成細胞と協調した効果的な歯周組織再生を実現することである。 本年度は、前年度に得られた結果を基に、エクソソームを含む歯周組織構成細胞からの液性因子によるMSC細胞機能への影響を解明する上で、 歯周組織構成細胞との共培養によってMSCの骨分化が抑制される際にMSCに誘導される遺伝子のうち、転写制御に関与するHDAC1およびHDAC2に焦点を当てた。 得られた結果として、MSCと歯周靭帯細胞(HPL cells)または歯肉線維芽細胞(HGF)との共培養によって、 1.それぞれの共培養におけるHDAC1, HDAC2の発現への影響およびリン酸化の抑制が確認できた。 2.それぞれの共培養によってHiston H3のアセチル化への影響が確認できた。 3.HDAC inhibitorにより、共培養時と同様にMSC骨分化の抑制が確認できた。 4.それぞれの共培養によって誘導されるmicroRNAが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度当初の予定では、歯周組織エクソソーム内特徴的因子の同定およびMSCの分化に対する影響を検討する予定であったが、前年度同様に研究推進のために必要な資材の供給が不安定となっていたため、前年度までに得られた結果を基に、歯周組織構成細胞が産生するエクソソームを含む液性因子によって影響を受ける遺伝子を具体的に絞った上で、MSC細胞機能、主に骨分化への影響を解析することとした。具体的な標的遺伝子としてヒストン脱アセチル化酵素であるHDAC1およびHDAC2に着目し、これらによる転写制御を介してMSC細胞機能への影響について検討した。 具体的な結果として、MSCと歯周靭帯細胞(HPL cells)または歯肉線維芽細胞(HGF)との共培養によって、1)それぞれの共培養におけるHDAC1, HDAC2の発現への影響およびリン酸化の抑制が確認できた。 2)それぞれの共培養によってHiston H3のアセチル化への影響が確認できた。 3)HDAC inhibitorによりHiston H3発現およびそれぞれのHDACのリン酸化への影響が確認できた。4)HDAC inhibitorにより共培養時と同様にMSC骨分化の抑制が確認できた。 5)それぞれの共培養によって誘導される3種類のmicroRNAが確認された。
変更後に関しては、順調であるが、当初の予定が推進できなかったことを考慮して「概ね順調である」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度にも実施できなかった歯周組織エクソソームに関しての研究を最優先で行なう予定であるが、具体的には、令和3年度の進捗状況を踏まえて、当初の予定を変更した上で、以下の通り予定している。 <2022年度> 1. 歯周組織エクソソーム内特徴的因子の同定:歯周組織構成細胞の培養上清からエクソソーム内RNAおよびタンパク質を分離し、遺伝子発現およびタンパク質発現を網羅的に解析・同定する。網羅的解析が難しい場合は、今年度着目したHDAC1, HDAC2または共培養により影響を受けたmicroRNAがエクソソーム内に含まれるか否かを着目する。 2. MSCの歯周組織構成細胞への分化に対するHDACによる影響の検討:歯周組織構成細胞により誘導されるHDACの発現抑制または過剰発現を行なうことで、MSC細胞機能への影響に変化が認められるか否かを確認する。 3.エクソソーム発現制御因子の検討:MSCにサイトカインまたは低酸素などで刺激し、分泌されるエクソソーム内因子, 特にHDACへの影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の実験計画からの進捗状況がやや遅れていたことを踏まえて今年度の実験内容の変更を行なったことから、次年度使用額が生じた。 主には 今年度実施できなかった歯周組織エクソソーム内特徴的因子の網羅的解析に使用する予定である。 今回の次年度使用額と次年度交付額を合算した上で、予定している研究が遅延なく進行できるように適切な研究に対して使用する予定である。
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