現在、露出した歯髄に対し、水酸化カルシウム製剤を用いて修復象牙質を誘導させる覆髄処置が一般的に行われているが、選択毒性が低く歯髄組織そのものを傷害する問題点が指摘されている。歯髄・象牙質複合体の再生に関連する研究では、より効果的な水酸化カルシウム製剤の検討が主流であり、細胞機能制御による歯髄象牙質複合体の再生に関する研究は黎明期にある。本研究は歯髄における炎症制御と修復象牙質形成の誘導を両立する分子としてBDNFに着目する唯一の研究である。本研究結果から、BDNFが歯髄細胞-マクロファージの細胞連携の制御因子である可能性が示され、より効率的かつ生体安全性の高い新規歯髄覆髄材の開発につながる。
|