歯髄は一度炎症を起こすと改善が困難な組織である。歯髄の有無が歯の寿命だけでなく認知症や寿命そのものにまで影響を与え、歯髄保存療法の適応拡大は歯科臨床医にとって急務である。CXCR4はケモカイン受容体のひとつで、受容体とそのリガンドは基本的には炎症の拡大時に増強されるが、それと同時に歯髄では治癒機転を促進する可能性がある。本研究で炎症モデルの細胞ではCXCR4の発現が増強されるものの、そのリガンドの作用では治癒機転への影響は確認できなかった。一方で、同様のケモカイン受容体であるCX3CR1は炎症の拡大と治癒機転への影響が確認され、歯髄炎と治癒とを関連付ける因子であることが示唆された。
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