研究課題/領域番号 |
20K09982
|
研究機関 | 松本歯科大学 |
研究代表者 |
尾崎 友輝 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (10802902)
|
研究分担者 |
吉成 伸夫 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (20231699)
中村 卓 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (50756393)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 老化 / 歯周病 / SASP / 老化制御 |
研究実績の概要 |
本研究では,(1)実験的歯周炎を誘導した老化マウスを用いて,加齢により歯槽骨吸収が亢進する機序を解明する,(2)薬剤により老化細胞を除去する,または老化細胞からのSASPシグナルを抑制することが歯槽骨を増加させる作用をもたらすかどうか検討することにより,歯周病と老化の関連性を解明し,新たな治療法を確立することを目的としている. 令和2年度は,老化マウスを用いて,加齢による歯槽骨吸収の亢進機序を解明することを目標とした.6週齢のC57BL/6マウスを購入し,18ヵ月齢になるまで飼育した.18ヵ月齢時に第2臼歯に対する6-0絹糸結紮による実験的歯周炎を誘導した群とコントロール群を作製し,老化が歯周病の病態に及ぼす影響について検討した. 令和3年度は,6週齢のC57BL/6マウスを購入し,18ヵ月齢になるまで飼育した.14ヵ月齢より4ヵ月間,月に1度,老化細胞除去薬としてDasatinibとQuercetinを経口投与した.18ヵ月齢時に第2臼歯に対する6-0絹糸結紮による実験的歯周炎を誘導した群とコントロール群を作製し,老化細胞除去療法が,老化による歯周病の病態悪化を改善するか検討した.マウスを安楽死させ,以下に示す方法で各組織を回収した.(Ⅰ)歯周組織における老化細胞の発現を検討するため,SA-βgal染色を行った.(Ⅱ)加齢に伴う歯槽骨と長管骨の形態と骨量をマイクロCTを使用して撮影した.(Ⅲ)血液を回収し,血清をサンプリングした.(Ⅳ)歯槽骨と長管骨を免疫組織化学的に解析するため,パラフィン包埋切片を作製した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
老化マウスを実験に供するため,老衰による衰弱死が生じ,設定した週齢まで生存できないマウスがみられたため,サンプル数確保のためにマウスを追加で購入することが多々あった.そのために予定していた実験を延期せざるを得なかったため.
|
今後の研究の推進方策 |
回収した各組織のサンプルより,以下に示す解析を行う.(ⅰ)歯周組織における老化細胞の性質を解析する.(ⅱ)マイクロCTを用いて経時的に観察した加齢に伴う歯槽骨と長管骨の形態および骨量の変化を詳細に解析する.(ⅲ)血清中の骨形成マーカーとしてアルカリフォスファターゼを,骨吸収マーカーとして酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼおよびⅠ型コラーゲン架橋C-テロペプチドの発現を解析する.(ⅳ)骨形成の指標として,osterixおよびアルカリフォスファターゼの発現を免疫組織化学的染色により評価する.(ⅴ)老化マーカーであるp16,p21,p53遺伝子発現の解析を行うために,上顎歯槽骨からmRNAを抽出し,real-time PCR法により遺伝子発現を定量する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
老化マウスを実験に供するため,老衰により衰弱死が生じ,設定した週齢まで生存できないマウスがみられたため,サンプル数確保のためにマウスを追加で購入することが多々あった.そのために予定していた実験を延期せざるを得ず,当初予定していた実験動物用試薬等の購入を次年度に使用することを計画している.
|