研究実績の概要 |
本研究においては、光分解のためのUV-LED光照射器の検討が不可欠である。UVC領域(波長280nm以下)での光分解性能はすでに検討しているが、臨床応用を進め るためより安全な波長域のUV-LED光照射器を用いる必要がある。 研究協力体制を築いている企業から、試作UV-LEDの提供を受け、電源装置や遮蔽環境下での光照射が可能な実験用の照射装置の確立を試みた。具体的には 265,285,300,340nmの波長を持ったLEDを試作し、光源からの距離(ワーキングディスタンス、WD)における照度計測を実施した。また、UV-LED装置の他用途への 応用の検討として、歯質漂白剤との併用や、歯冠修復材料表面のコンタミネーションの除去などの検討を加えている。 昨年度は一定の成果を学術誌に報告できたため、本年度はUV -LED光照射器の改良を試みた。 これまでの研究期間に得られた成果をもとに、顎模型を用いた光照射器の臨床応用における使用環境に即した状態での機器の具体的な形態について検討を加えた。今までは平滑面における接着性レジンセメントの可逆的な分解を検討してきているが、臨床においては口腔内という環境を考慮するとより複雑な形態への応用が不可欠となる。そのため、今まで実験用に用いた近接での光照射ではなく、臨床に即した距離における照度計測を行い、レジンセメントの分解、歯質のホワイトニング、歯間修復材料のコンタミネーションの除去などのそれぞれの状況下で想定されるワーキングディスタンスにおける実行照度を検討した。今後はおsの成果から得られた情報を元に、光照射器の実際のデザインを検討していく。本年度中では産学連携の実機制作までは至っておらず、今後も検討が必要である。
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