研究課題/領域番号 |
20K09992
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
PEZZOTTI G. 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 教授 (70262962)
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研究分担者 |
足立 哲也 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10613573)
Marin Elia 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 助教 (10814014)
小原 幸 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (80275198)
扇谷 えり子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80300820)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | バイオセラミックス / 歯科インプラント / ラマン分光分析 / 再生医療 / 抗菌性 |
研究実績の概要 |
再生力や免疫力が低下した高齢者に対して、良質の歯科インプラント治療を提供するには、高い生物活性と抗菌性を有するインプラント材料を使用することが望ましい。しかし、インプラント材料として最も多く使われているチタン合金は、これらの要件を十分に満たしているとは言い難い。新規バイオセラミックス窒化ケイ素は優れた生物活性と高い骨伝導性、歯周病菌に対する抗菌性を有することから、新たなインプラント材料として注目されている。我々はレーザー・パターニングにより、窒化ケイ素セラミックスをチタン表面にコーティングすることで抗菌性と骨伝導性をさらに強化できると考えた。本研究は、骨伝導能と歯周病菌に対する抗菌効果(インプラント周囲炎の予防)を窒化ケイ素コーティングによって強化できるかをin vitroとin vivoの系で検証し、さらに窒化ケイ素が骨結合に与える影響を様々な分光学的解析法により明らかにする。本法は、迅速に強固な骨結合を獲得し、インプラント周囲炎を予防することでQOL向上に寄与する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度はin vitroの系において、窒化ケイ素コーティングがチタン基板の骨伝導性および抗菌性を強化できるかを検証した。ヒト骨芽細胞株を窒化ケイ素コーティングチタンの基板または未処理のチタン上に播種し、骨誘導条件での7日間培養を行った。培養後、基板上に沈着したハイドロキシアパタイトをSEM/EDXおよびレーザーラマン顕微鏡で解析し、非コラーゲン性の骨基質タンパク質であるオステオカルシンおよびオステオポンチンの発現を蛍光顕微鏡で観察した。解析の結果、チタン合金の窒化ケイ素コーティングにより石灰化基質が普遍的に沈着することが明らかになった。免疫染色では、窒化ケイ素コーティングでは、成熟骨芽細胞のマーカーでるオステオカルシンの発現が優位となっていた。一方、未処置のチタンでは、未成熟の骨芽細胞マーカーであるオステオポンチンが優位となった。このことから、窒化ケイ素は骨芽細胞の成熟を促すことが明らかになった。 また、表皮ブドウ球菌を用いた実験系では、窒化ケイ素コーティングにより優位に生存率が低下することが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度はインプラント周囲炎モデルにおける、窒化ケイ素の骨伝導性および抗菌性をラマン分光分析で明らかにする。更に、歯周病菌の大量培養、ラットインプラント周囲炎モデルの確立を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
未曾有のコロナ禍において、当初の計画通りに進めることは非常に困難である。大幅な遅れなどは今の所起こっていないが、共同実験や施設の利用など制限される機会が非常に多い。また実験してに使用する機器のメンテナンス等も実施が難しかった為、年度をまたぐ事になった。
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