研究実績の概要 |
本研究では、ディプラーニングを用いて、インプラント体のメーカーや種類を判別させるためのシステムを構築することを目的とした。ディプラーニングによる画像識別を行うためには、一つの対象物に対し数百枚の画像が必要であるが、各インプラント毎に数百のレントゲン画像を集めることは、極めて難しい。そのため、インプラント体のSTLデータで構築した三次元データから二次元画像を構築する方法を考案した。 方法として、Straumann 社製の 3 種類のインプラントシステム BL(ボーンレベル + パラレルウォール)、BLT(ボーンレベル + 先端 がテーパータイプ)、TL(ティッシュレベル)において、直径、長さの異なる 83 個の STL データをレンダリングシステム Mitsuba 2 に入力した。3 種類のインプラントシステムについて、各 22,896 枚、計 68,688 枚の人工デンタルX線画像を生成したのち、トレーニングデータセット(n=61,819, 90%)をLeNet、Midsize、および Google Inception v3 に学習させた。その結果、Google Inception が最も識別精度が高く、識別時間が短かった。 そこで本年度は、BL、BLT、およびTL 3つのインプラントシステムのいずれかを含む295枚のX線写真を収集後、Google Inception v3、および、大阪大学歯学部附属病院口腔補綴科所属のインプラント埋入経験1年、5年、6年の歯科医師3名に識別させ、比較した。 その結果、Google Inception v3と歯科医師3名の識別精度および識別時間はそれぞれ、92.5%、0.02秒、98.3%、1.98秒、99.3%、1.42秒、98.6%、および1.56秒であった。識別精度は歯科医師の方が高かったが、識別時間はGoogle Inception v3が最も早かった。加えて、アブレーションスタディにおいて、この3種類のインプラントシステムの識別では、トレーニング画像の数は61,819で十分であることが示された。
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