研究課題/領域番号 |
20K09997
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
安居 孝純 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (80348771)
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研究分担者 |
中川 種昭 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00227745)
森川 暁 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (00424169)
馬渕 洋 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (50424172)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 歯髄幹細胞 / 顎骨壊死 / オルガノイド |
研究実績の概要 |
本研究では、難治性疾患であるビスフォスフォネート製剤関連顎骨壊死(BRONJ)予防のための、歯髄幹細胞移植の有効性を検討することを目的としている。これまでに、ヒト歯髄幹細胞分離マーカーを同定し、フローサイトメトリーにより純化した歯髄幹細胞が高い増殖能および骨形成能を示すことを報告した。この歯髄幹細胞から3次元培養により作製したオルガノイドを、ビスフォスフォネート製剤投与後の免疫不全マウスの抜歯窩に移植し、顎骨壊死予防への有用性を評価する。 現在、3次元培養した歯髄幹細胞について、in vitroおよびin vivoでの実験を行い、様々な観点から顎骨壊死予防に関する効果を評価している。歯髄幹細胞移植が、どのように顎骨壊死予防に寄与するのかを明らかにするために、ビスフォスフォネート製剤投与後のマウス抜歯窩への歯髄幹細胞移植を繰り返している。主に組織学的評価およびマイクロCT撮影による画像評価を行い、移植による予防効果を検討している。また、リアルタイムPCRにより歯髄幹細胞の発現する細胞増殖因子や骨関連遺伝子、血管内皮細胞増殖因子、抗炎症因子について評価を行っている。 今後も、歯髄幹細胞に発現する因子について、リアルタイムPCRやELISA、Cytokine array等による評価を行う予定である。また、歯髄幹細胞移植による軟組織形成、血管新生、骨形成、抗炎症効果を、免疫染色やマイクロCT等を用いて評価する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、3次元培養した歯髄幹細胞移植が、どのように顎骨壊死予防に寄与するのかを明らかにするために、ビスフォスフォネート製剤投与後のマウス抜歯窩への歯髄幹細胞移植を繰り返している。顎骨壊死モデル作製に際し、薬剤投与量を決定するために時間を要している。また、より有効性の高い細胞移植方法について検討を重ねているため、やや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
高い増殖能、in vivoでの長期生存能や骨形成能を示すLNGFR(Low+)THY-1(High+)歯髄幹細胞オルガノイドを、ビスフォスフォネート製剤投与後のマウス抜歯窩に移植する。骨形成だけでなく様々な観点から顎骨壊死予防に関する効果を評価する。 1)in vitroで、歯髄幹細胞由来オルガノイドの発現する細胞増殖因子や骨関連遺伝子、血管内皮細胞増殖因子、抗炎症因子について、フローサイトメトリー、ELISA、Cytokine array等を用いて評価する。 2)ビスフォスフォネート製剤投与後のマウスの抜歯窩に歯髄幹細胞由来オルガノイドを移植し、顎骨壊死予防に対する有効性を検討する。骨形成、骨代謝関連:歯髄幹細胞移植による骨形成と移植細胞の関与、破骨細胞数の変化等について組織学的に評価する。マイクロCTを撮影し、骨の構造解析による新生骨の定量的評価を行う。血管新生:ビスフォスフォネート製剤投与を行うと血管新生が阻害されるとされているが、骨形成には血管新生が非常に重要である。そのため、ビスフォスフォネート製剤投与後のマウスに歯髄幹細胞を移植すると血流の改善を示すのかについて、免疫染色を行い評価する。軟組織形成:ビスフォスフォネート関連顎骨壊死の原因の一つとして抜歯窩(開放創)からの細菌感染が示唆されている。歯髄幹細胞由来オルガノイドをビスフォスフォネート製剤投与マウスの抜 歯窩に移植し、軟組織形成および再生軟組織内の血管新生について評価する。抗炎症効果:歯髄幹細胞移植により抗炎症効果を示すのかについても評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、主に移植実験のための免疫不全マウスや試薬の購入に使用している。移植実験のサイクルの関係で未使用額が発生し、次年度使用額が生じた。これらは、次年度の移植実験等に必要なマウスおよび試薬の購入に使用する予定である。
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