研究課題/領域番号 |
20K10002
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研究機関 | 鶴見大学 |
研究代表者 |
松本 直行 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (20386080)
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研究分担者 |
斎藤 一郎 鶴見大学, 歯学部, 教授 (60147634)
中山 亮子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (50749843)
尾曲 大輔 鶴見大学, 歯学部, 助教 (10608699)
山崎 智恵 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (80817122)
井上 裕子 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (50367306)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 唾液腺 / 組織傷害 / 脂肪由来幹細胞 / 間質血管細胞群 / 再生 |
研究実績の概要 |
唾液腺特異的傷害モデルとして、ジフテリアトキシン(DT)受容体(hHB-EGF)C57BLマウスの唾液腺に特異的に発現させたトランスジェニックマウス(MUC7p-TRECK)に対してDTを腹腔内投与し、唾液腺組織傷害と唾液分泌量低下の程度を評価し、脂肪由来幹細胞(ASC)移植による唾液腺組織再生の実験条件を検討した。 またASCの供与体(ドナー)としてC57BLマウス(6週齢、雄)の鼠径部脂肪組織を切除・細切した後にコラゲナーゼにより分散し、間質血管細胞群(SVF)を単離した。SVFに含まれるASCの存在率を検討するため、文献的に使用頻度の高い蛋白プロファイルであるSca-1およびCD34の蛍光免疫染色を実施した。 上記の結果、① MUC7p-TRECK(ヘテロ接合体)の腹腔にDTを500 ng/Kg、2週間にわたり連日投与したところ、唾液腺組織の顆粒導管細胞と周囲の腺房細胞にTUNEL陽性細胞の集塊が観察され、唾液分泌量がコントロール(生理食塩水投与群)に比べ約60%まで低下した。また、② 唾液腺組織におけるhHB-EGF mRNA発現の程度をquantitative RT-PCRにより検討したところ、ホモ接合体はヘテロ接合体に比べて発現量が高いことが示された。さらに、③ SVFは分離された当初は短紡錘形を呈していたが、拡大培養したところpassage 2で細胞質の広い大型の細胞が出現し、passage 4では大型細胞の占める割合が90%以上になり、急激に増殖能が低下したことから、細胞の分化ないし老化が生じていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
唾液腺組織傷害を評価するため2週間にわたり連日、DTを投与したが、形態学的にはTUNEL陽性細胞の集塊が散在するのみであり、より高度の細胞傷害が唾液腺組織再生実験に必要と考えられる。またSVF群に含まれる細胞が比較的早期(passage 4)に老化を示していることから、ADCの分取法および存在率を評価するプロトコールを再検討する。
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今後の研究の推進方策 |
唾液腺傷害モデルの最適化を目的に、① MUC7p-TRECKマウス(ホモ接合体)に対してDT投与の期間を延長し、組織傷害と唾液分泌量低下の程度を検討する。 また、② SVFに含まれるASCの存在率をセルソーター等で検討した後、SVF群およびSVFからセルソーターにより得られたASC群に分けて細胞を唾液腺傷害モデルマウスに移植した後、組織の再生を形態学的(TUNEL陽性細胞および細胞死関連因子の発現・局在)に解析し、さらに唾液の定量的・定性的解析(唾液分泌量、総タンパク量やEGFR-2アゴニスト量等)を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度内に脂肪由来のVSFからASCに富む細胞集団を同定・分取し、ASCによる唾液腺組織再生モデルを確立することを予定していたが、ASCに富む細胞集団の同定に遅れが出ている。2020年度内に予定していた解析を2021年度内に実施するため、それに係る費用の繰越金が発生している。
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