研究実績の概要 |
申請者はすでに、人工多能性幹細胞(iPS細胞)からMSC様細胞(iPSMSLC)を作製し、さらにiPSMSLCを骨芽細胞様細胞へと分化させることに成功した。すなわち、大型の骨再建に必須となる、大量の骨芽細胞を理論上無限の細胞供給源になりうるiPS細胞から作製し、さらに局所定着細胞数の向上には移植細胞の生存を向上させる新規の移植担体であるヒトI型コラーゲン様リコンビナントペプチドを用いることにより、これまでの細胞移植の問題点を解決し、大型の骨再生を誘導する方法を見出すことを本研究課題の目的とした。 iPS細胞の培養、維持にはフィーダーレス・シングルセル継代を用い、無血清・ゼノフリー環境で行う。多分化能の確認にはFACS、免疫染色、qPCRによる未分化マーカーの発現解析を用いる。すでにFACSによって未分化マーカーが維持できていることを明らかにした。iPS細胞培養には、mTeSR1に変更し維持培養を行っている。また、ゼノフリーでiPSMSLCに分化させるためSTEMdiff Mesenchymal Progenitor Kitを用いて行った。 iPS細胞から歯根膜幹細胞への分化誘導を行い、iPS細胞からCD29, CD44, CD90, CD105(+) CD14, CD19, CD34, CD45, TRA-1-60, TRA-1-80, SSEA4(-) の細胞表面マーカー発現を示し、Periostin, COL1A1, DLX5, CEMP1の遺伝子発現陽性、骨芽細胞分化培地での培養によって石灰化結節を形成する歯根膜幹細胞様の細胞集団への分化誘導に成功した。
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